今、改めて注目されている省エネ表彰制度とは

2014年03月01日 18:21

 「省エネ」という言葉が頻繁に使われるようになったのは、第二次オイルショックが発生した1979年頃からといわれている。それまでにも、省エネルギーという言葉は使われていたものの、「節約」という意味合いが深かった。今日のように、「エネルギー使用効率の向上」という意味が加わったのは、エネルギーの使用の合理化に関する法律、いわゆる「省エネ法」が施行された79年以降になる。以来、30年以上に渡って省エネという言葉が使われてきたわけだが、2011年に発生した東日本大震災以降、日本人の省エネに対する意識がさらに高まっている。

 埼玉県が行った平成24年度県政世論調査「震災前後における省エネ・創エネに関する意識と行動の変化」でも、「より一層意識するようになった」が36.2パーセント、「以前から意識している」が22.6パーセント、「以前は意識していなかったが、意識するようになった」が32.0パーセントとなっており、「意識している」とする回答は合計で90.8パーセントと、高い数字を示している。実際、埼玉県に限らず日本全国の消費者の意識として、電化製品や住宅、車などを購入する際、同等程度の性能ならば、少しでも省エネ性能に優れた物を選択するようになっているのではないだろうか。

 消費者や企業が、その商品がどれだけ省エネ性能に優れているのかを判別する一つの手がかりとして「表彰制度」がある。

 例えば、一般社団法人日本機械工業連合会では、1980年から「優秀省エネルギー機器表彰制度」を設けており、この制度は、エネルギーの効率的利用の推進に貢献していると認められる者及び企業その他の団体を表彰し、優秀な省エネルギー機器の普及と開発促進を目的としたもので、平成25年度はIHI機械システムの蒸気凝縮式真空脱脂洗浄機が経済産業大臣賞に、ヤンマーの機械制御式船舶用ディーゼル主機関が資源エネルギー庁長官賞を受賞している。

 また、省エネの分野で一般的な消費者の関心が高いのが、自動車と住宅ではないだろうか。自動車の方は燃費などで比較検討がしやすいものの、住宅に至っては総合的な省エネ性能が分かりにくく、住宅購入時の判断が難しい面がある。そこで一つの指針となるのが表彰制度というわけである。

 一般財団法人日本地域開発センターによる、省エネルギー住宅のトップランナーを選定する表彰制度「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2013」が2月13日に発表され、

 大賞1件、特別優秀賞18件をはじめ、述べ76の企業が受賞した。中でも注目したいのが「特別優秀賞」と「優秀企業賞」をダブル受賞しているパナホーム株式会社<1924>だ。

 今回、同社が特別優秀賞を受賞したのは、大容量太陽光発電を搭載するスマートハウス「エコ・コルディス」。屋根に太陽光発電パネルを載せるのではなく、屋根自体を太陽光発電パネルにした画期的な住まいで、一般的な住宅における搭載容量(平均約4.19kW)に比べ、約2倍以上の大容量太陽光発電パネル(10kW以上)の搭載が可能。一次エネルギーの年間自給率は同社商品比で約290%、CO2排出量は年間約4.4t削減できる環境性能を有し、2013年4月の発売以来、累計で約940棟を受注している。

 なお、同時受賞した優秀企業賞は本表彰制度の前身である「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック」を含めて3年以上連続受賞の企業に授与される特別表彰で、長年に渡る企業の省エネへの取り組みが評価されたものだ。

 省エネや節電を意識していても、いざ実践するとなると、なかなか難しいものだ。しかし、省エネ表彰された商品であれば、意識しなくても普段から省エネを実践できる。とくに住宅などは何十年という長期で使用するものだから、検討する材料として注目したいものだ。(編集担当:藤原伊織)