バブル期の3分の1に縮小するも、宝飾品市場は上向き

2014年03月06日 12:28

 株高や消費増税前の駆け込み需要を追い風に、百貨店の売上高が回復している。中でも一段と高い伸びをみせているのがダイヤモンドや高級時計などの「宝飾品」だ。ここ数ヶ月は前年比2ケタの伸びが続き、1月はなんと前年同月比22.6%増。好調といわれる婦人服やスーツなど「衣料品」の伸びが0.5%程度にとどまっていることを考えると、宝飾品の売れ行きのすさまじさが分かる。

 矢野経済研究所によると、13年の国内宝飾品(ジュエリー)小売市場の規模は、前年比105.6%の9617億円と大幅増になる見込み。富裕層を中心に、希少性の高い宝石が売れている。ここ数年、大粒のダイヤに加え、一般のダイヤに比べて発掘される確率が0.1%以下というカラーダイヤモンド、それにルビー、サファイアなどの高品質な「色石」の価格が高騰しているという。市場での品薄感から、オークションなどでは高値落札が続く。それでも富裕層の消費意欲は旺盛で、外商ルートなどを通じて数千万、数億円のジュエリーがよく売れている。

 13年の後半には、富裕層以外にも需要が広がってきた。宝飾品の需要が最も盛り上がるクリスマス商戦は昨年、特に好調。都市部の百貨店では例年の2倍、100万円台前後の高級時計が売れ筋だったとも報じられている。

 明るい話題は多いが、今の宝飾品市場はバブル期の3分の1に過ぎない。91年には3兆円を超していたが徐々に縮小し、97年に消費税が3%から5%になった後は約1兆6000億円まで落ち込んだ。震災後の11年には8900億円と過去最低を記録。ここ2~3年は回復の兆しを見せているものの、婚姻件数の減少などで、ブライダルジュエリーを中心に競争は激化している。

 今後の国内宝飾品(ジュエリー)小売市場規模について、矢野経済研究所では、14年は増税の影響があるため前年比100.8%の9692億円、15年は同99.1%の9605億円と横ばいで推移すると予測している。(編集担当:北条かや)