7日、日本ハム<2282>は26日付で2018年満期のユーロ建て新株予約権付社債(転換社債=CB)300億円を発行すると発表。日本ハムはそうして新株予約権付社債発行で得た資金を使い、3月の10日から31日までに、300億円を上限として自社株買いを実施する。それにより資本効率の改善を行い、自己資本利益率(ROE)5.6%(13年3月期)を15年3月期までに7%に高める目標を達成させたい考えがあるようだ。
10年の2月にも日本ハムは新株予約権付社債300億円を発行しているが、最近の株価上昇により新約予約権はほぼ100%行使されることとなった。しかしこのことが日本ハムの発行済み株式約10%を希薄化させる原因となり、目標として掲げていた自己資本利益率を15年3月期までに7%とする計画の実現が困難になっていた。そのため日本ハムは今回、株主からの自己資本利益率の目標達成への要望も高まっていたことも受けて、4年ぶりの新株予約権付社債の発行と、それによって得た資金による自社株買いを決定した模様だ。
発行されるのは海外の機関投資家に向けて発行されるユーロ円建て新株予約権付社債で、償還期限は4年6ヶ月、表面金利はゼロ。主幹事はSMBC日興証券。
今回のユーロ円建て新株予約権付社債では、原則、株価が転換価格を20%以上にならなければ新株予約権を行使できないようにする「転換制限条項」であったり、新株予約権の行使が大きく進んだ時のために元本部分を現金で償還し、日本ハムが元本を上回る部分についてのみ株式を交付する権利を留保する「取得条項(額面現金決済型)」を設けることで、株式希薄化を抑える形をとった。
この日本ハムの戦略は、短期間であれば自己資本利益率の引き上げに効果があるとみられているが、しかし利益成長による企業価値の拡大というわけではない点から、市場の評価は分かれるのではないかとの予測もなされている。
新株予約権付社債にて調達した資金により自社株を買う行為は「リキャップCB」と呼ばれ、日本ハムのほか、過去にはヤマダ電機<9831>やヤマトホールディングス<9064>なども行った例がある。(編集担当:滝川幸平)