【今週の振り返り】ウクライナ情勢の好転で433円上昇した週

2014年03月08日 20:23

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プーチン大統領のおかげなどではなく、海外の悪材料が出るたびにきつく下げ、売られすぎた日本株の修正局面

 前週末2月28日のNYダウは49ドル高で3日続伸し、3日続落の東京市場と正反対。10~12月期の実質GDP改定値は速報値から下方修正されて年率2.4%増で市場予測を0.1ポイント下回ったが、シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数がともに市場予測を上回って補った。それでもウクライナ情勢が上値を抑えて一時はマイナスまで落ちNASDAQ総合指数は反落した。3日朝方の為替レートはドル円は101円台前半、ユーロ円は139円台半ばで、前週末からユーロ安が進む。3月1日にロシア上院がウクライナへの軍事行動を支持して緊張が高まり、国際社会はプーチン大統領に自重を求めた。

 ウクライナ情勢を懸念するリスクオフで外資系証券の売買注文動向は売り越し。日経平均は174.14円安の14666.93円で3月の取引開始。下落ピッチを早めて午前9時台のうちに14600円も14500円も割り込み、9時51分に14443円まで下落する。5日からの全人代を前に中国の雲南省で1日に起きた昆明駅無差別テロ事件で29人が死亡。1日発表の中国国家統計局・物流購買連合会の2月の製造業PMIも50.2で前月比0.3ポイント低下。それを受けて週明けの香港市場は下落したが上海市場は前週下げすぎた反動もあり開始直後にプラスに転じて株価を切り上げる。14500円台を回復した日経平均も徐々に値を戻して14600円に迫り、前引は14581円だった。

 ロシアはクリミア半島で実効支配の既成事実化を進めてもそれを超える動きを見せず、「リスク回避の円買い」による円高も一段落して、後場は14540~14590円のレンジで一進一退が続き低位安定。主要7ヵ国の財務相が「ウクライナに強力な金融支援を提供する」という共同声明を発表すると午後2時前に一段高になり14600円台に乗せ、大引けまでおおむねその半ばで推移し終値は188.84円安の14652.23円。4日続落しても安値から下げ幅を209円も圧縮し期待をつないで終えた。日中値幅は241円。TOPIXは-14.90の1196.76で1200割れ。売買高は21億株、売買代金は2兆54億円でかろうじて2兆円台に乗せた。

 プラスのセクターは鉱業、電気・ガスの2業種のみ。下落31業種で値下がり率が小さいのは銀行、証券、水産・農林、卸売など。大きいのは医薬品、情報・通信、精密機器、電気機器、海運、機械などだった。

 週明け3日のNYダウは153ドル安と4日ぶりに反落し大幅安。一時、下げ幅が250ドルを超えた要因はウクライナ情勢で、個人消費支出が前月比0.4%増で市場予測を上回っても、ISM製造業景況指数が前月比1.9ポイント増の53.2で市場予測を1.2ポイント上回っても、みんな吹き飛ばされた。4日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が139円台前半で、懸念されたほどには円高は進行していなかった。

 取引時間前の外資系証券売買注文動向は前日に続いて売り越し。日経平均は98.28円安の14553.95円で始まったが、下げ幅を圧縮して午前9時10分すぎには14600円にタッチ。さらに9時台のうちに為替のドル円が101円台半ばまで円安に振れ、TOPIXはプラスにタッチし1200円台にも乗せる。日経平均もおおむね14600円台で推移して10時28分にプラスに浮上した。10時30分に香港市場がプラスで始まると、上海市場が5日ぶりの反落で始まってもドル円は101円60銭台まで円安が進み、日経平均は10時36分に14700円にタッチ。11時5分から30分まで大証で日経平均先物が約定できなくなるシステムトラブルが発生しても14700円台をずっと保っていたが、前引は14698円だった。

 先物システムが復旧した後場は14700円台で再開。午後1時前から14700円を割り込み一時的にマイナスにもなるがすぐ回復し、1時20分すぎから14700円前後の小動きでずっと推移する。大引け20分前ぐらいから少し上がり終値は69.25円高の14721.48円で5日ぶりに反発した。日中値幅は204円。TOPIXは+7.35の1204.11で1200台回復。売買高は19億株、売買代金は1兆7706億円でウクライナ情勢の様子見に終始した。東証大引け後にプーチン大統領がロシア軍に基地帰還を指示というニュース速報が入り、日経平均先物は14890円まで急騰し円安も進行した。