先日厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査(従業員5人以上)によれば、2月の従業員1人当たりの平均現金給与総額は26万2308円で、前年同月比とほぼ横ばいであったことが分かった。また、2013年の年末のボーナス(13年11月~14年1月)は前年比0.3%アップの36万6865円であった。プラスに転じるのは年末賞与としては5年ぶりのこととなる。
基本給などを表す「所定内給与」は、前年同月比0.3%ダウンの24万97円で、21ヶ月連続のダウンとなった。残業代などの「所定外給与」は、景気回復の影響から前年同月比3.4%アップの1万9316円で、こちらは11ヶ月連続でのアップとなった。そして「所定内給与」と「所定外給与」の合計である「きまって支給する給与」は、前年同月の水準とほぼ横ばいの25万9413円であった。またボーナスなどの「特別に支払われた給与」は前年同月比1.5%ダウンの2895円で、物価の変動を考慮した実質賃金指数は前年同月比1.9%ダウンであった。実質賃金指数はこれで8ヶ月連続でのダウンであり、去年12月の前年同月比1.3%ダウンという数値から、そのマイナス幅は拡大している。このことから、物価の上昇に賃金の上昇が追いついていないという現状が伺える。
「所定外給与」のプラス傾向が続き、また5年ぶりに年末賞与がプラスに転じたことから、厚生労働省は「賃金回復傾向は続いている」との見解を示している。
平均現金給与総額を就業形態別に見てみると、正社員などフルタイムで働く「一般労働者」は33万3380円で前年同月比と横ばい。それに対して「パートタイム労働者」は前年同月比0.4%アップの9万2509円であった。 「一般労働者」の数と「パートタイム労働者」の数を合わせた常用雇用は前年同月比1.1%アップの4614万5000人で、そのうち「一般労働者」は前年同月比で0.9%アップし、また「パートタイム労働者」は前年同月比で1.7%アップとなった。このように、賃金水準の低い「パートタイム労働者」の増加が「所定内給与」の減少に影響しているものとみられる。(編集担当:滝川幸平)