上場および未上場企業の人事担当者を対象に「人事制度に関する調査」を実施したところ、多くの人が人事制度の「寿命」が「10年以内」と考えていることがわかった。有効回答数153社。調査期間は2014年2月14日~27日。(「株式会社トランストラクチャ調べ」)
現行の人事制度を何年前から運用しているのかを尋ねたところ、「3年未満」29%、「3~5年未満」18%、「5~7年未満」16%、「7~10年未満」9%、「10年以上」28%という結果となった。7割近くの企業が、現行の人事制度を採用しえ10年未満ということになる。
企業規模別では、大手企業(1001名以上)では「3年未満」40%を含め、7割以上が「7年未満」と答えた。一方、中堅企業(301~1000名)では「3年未満」は13%、「10年以上」が41%となり、大手企業と中堅企業では、人事制度の更新頻度が明らかに異なることがわかった。中小企業よりも大企業の方が、人事制度をより短期間で更新している。
そもそも、人事制度の「寿命」はどれくらいが適当なのだろうか。
妥当と思われる人事制度の寿命について尋ねたところ、「3年未満」8%、「3~5年未満」29%、「5~7年未満」26%、「7~10年未満」27%、「10年以上」9%となった。現実には3割近い企業が「10年以上」も同一の人事制度を運用しているにも関わらず、寿命を「10年以上」と捉えている企業は9%にとどまる結果となった。
企業規模別では、大手企業で「10年以上」との回答は1件もなく、「3年未満」2%、「5~7年未満」40%となった。大手企業では人事制度の見直しが中堅・中小企業よりも頻繁に行われていることが示唆される。
人事制度に「寿命」があることの理由の一つとして、経営方針との「ズレ」が考えられる。
現行の人事制度が現在の事業環境・経営方針と適合した内容になっているかどうかを尋ねたところ、 「適合している」39%、「やや適合していない」48%、「適合していない」13%となった。6割以上の企業が、人事制度と事業環境・経営方針との「ズレ」を認識していることになる。
ズレの理由では、「適切な処遇への反映ができない」「それぞれの仕事・役割に応じた賃金になっていない」「職種・等級の構造や定義が実態と合わなくなっている」50%以上、「評価項目が実態とあっていない」30%以上となった。いずれも、経営方針の変化のスピードに人事制度の改変が追い付いていないことを示唆する結果となっている。
別のアンケートでは、業務に関して「自分の働きが正当に評価されていない」と感じていると答えた人は、100人中24人に上った(「リクナビNEXT」調べ)。景気や時勢の変化に応じ、必要とされる人材も変わってくるが、昨今はそれらの変化のスパンがさらに早くなってきている。変化の波に揉まれながら、企業側も適正な人事評価軸を模索しているようだ。(編集担当:堺不二子)