【日経平均】254円安だが日中値幅小幅の「コップの中の嵐」

2014年04月07日 20:14

 大林組<1802>は風力、バイオマス発電事業への進出が報じられ11円高。新田ゼラチン<4977>はコンビニが力を入れる「中食」商品の惣菜用の需要が伸びていると日経新聞が報じ50円高で年初来高値を更新し値上がり率4位。そのコンビニは、カラオケボックス一体型店舗を出すファミリーマート<8028>は15円高、ローソン<2651>は120円高と逆行高した。しかし、ローソンのFC店舗を千葉県と東京都で展開するCVSベイエリア<2687>は4日に2月期決算見通しを最終赤字に下方修正したため11円安で値下がり率11位。小売セクターではAOKIHD<8214>が95円安で年初来安値を更新し値下がり率5位、スタートトゥデイ<3092>が143円安で値下がり率9位と悪かった一方、ヤマダ電機<9831>が売買高13位で7円高と活況で、ジーンズメイト<7448>は11円高で値上がり率2位に入った。

 吉野家HD<9861>は「牛すき鍋膳」が好調で業績上方修正を発表し34円高。オーストラリアのアボット首相が来日中で、日豪EPAに大筋合意して同国産牛肉の関税を38.5%から20%台に引き下げると報じられたが、吉野家の牛肉はアメリカ産。それでもTPP交渉での関税引き下げにつながる期待で買われた。吉野家と「牛鍋戦争」交戦中でオーストラリア産牛肉を使う「すき家」のゼンショーHD<7550>は1円高、松屋フーズ<9887>は26円高だった。食肉卸のスターゼン<8043>が9円高で年初来高値を更新し値上がり率13位に入っていた。

 最近、NASDAQが安いとネット・コンテンツ系銘柄も安くなる傾向がみられる。その代表がソフトバンク<9984>で365円安と下げがきつかった。後場に3月の携帯電話各社の販売実績が発表され、純増数はソフトバンク64万台、NTTドコモ<9437>51万台、KDDI<9433>49万台と駆け込み需要で各社とも前月比でほぼ倍増したが、NTTドコモは15円安、KDDIは152円安。4月以降の反動減が懸念される。ヤフー<4689>は売買高5位、売買代金10位ながら29円安で年初来安値を更新し値下がり率7位。楽天<4755>も70円安だった。前週は「格安スマホ」で急騰をみせた日本通信<9424>はストップ高の80円高と反騰。ミクシィ<2121>は前週末、「モンスターストライク」のユーザーが500万人を突破したと発表し、12.93%上昇して710円高と人気が集まった。

 この日の主役はディフェンシブ系の代表の医薬品セクター。第一三共は取引開始前、63.4%出資の連結子会社ランバクシー・ラボラトリーを、同じインドの後発医薬品メーカー、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ社が吸収合併することで合意したと発表した。品質管理体制が問題視され昨年9月、今年1月と2工場が立て続けにアメリカの食品医薬品局(FDA)から禁輸措置を受け、インド事業の抜本的見直しを迫られていたが、「お荷物」をうまくエグジットできたので値上がり率11位の58円高で終えた。サン社の株式の9%を保有するが持分法適用会社にもならず、インド事業のリスクは低くなる。

 参天製薬<4536>は旭硝子<5201>と共同開発した緑内障治療薬「タフルプロスト」のアメリカでの販売ライセンスをオークファーマシューティカル社に供与して170円高。値上がり率8位。大日本住友製薬は4日に3月期決算見通しの修正を発表し、売上高は20億円、営業利益は70億円、純利益は30億円、それぞれ上方修正。57円高で値上がり率10位に入った。STAP細胞は大揺れでも、iPS細胞の実用化への歩みは着々と進んでいる。(編集担当:寺尾淳)