8日のNYダウは10ドル高で4営業日ぶりに反発した。NASDAQも反発。アマゾン、グーグル、フェイスブックなど人呼んで「モメンタム株」のハイテク銘柄が買い直されたとはいえ朝の底値からの自律反発の色彩が強く、NYダウは前日比50ドル高近辺まで上昇するとあっさり上値を抑えられた。決算発表待ちムードも根強く、ウクライナでは特殊部隊が出動してデモ隊を排除し緊張が高まっている。IMFが2014年の世界の経済成長率を3.6%、日本の経済成長率を1.4%に下方修正し暗雲漂う。9日朝方の為替レートはドル円は101円台後半、ユーロ円が140円台後半と約3週間ぶりの円高水準になった。
円高はウクライナ情勢緊迫で米国債が買われたこともあるが、初の生中継が認められた前日大引け後の黒田総裁の記者会見で早期緩和期待が剥落したことが大きい。緩和を匂わせるリップサービスでマーケットのご機嫌をうかがうどころか、「GDP(需給)ギャップはほとんどゼロに近い」など金融政策現状維持、物価目標達成に自信みなぎるサムライぶり。この先、何が来ようと「花も嵐も踏み越えて」という孤高の覚悟なら、東京市場も朝から「春の嵐」覚悟。シカゴCME先物清算値は14355円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は今週3日連続の売り越しで、日経平均は170.83円安の14436.05円で始まる。防衛線と思われた200日移動平均線14589円も軽々とワープする下げっぷりを演じた。
序盤はドル円が102円にタッチする円高修正もあり午前9時24分に14502円まで上昇するが、折り返して9時58分には14400円を割り込む。10時14分に14358円まで下げるが、その後はおおむね14300円台後半の14400円に近い水準で推移して動きに乏しい。韓国、台湾だけでなく上海も香港も続伸で始まりアジアで東京市場だけが孤独に下落。前引の寸前に14355円とCME先物にさや寄せし、前引は14340円だった。
後場も14300円をたびたび割り込んで午後1時に14292円まで下げるなど軟調が続く。14300円前後の値動きがずっと続いて変化がなく、2時10分に14279円まで下げても一時的。それでも大引けでは14300円を割り込んで終値は307.19円安の14299.69円。日中値幅は223円だった。主力大型株中心の全面安で、3月27日の「権利配当落ち日」以来の株価水準に沈む。日経平均は今週、3日連続で200円超の下落を喫し、TOPIXともども4日続落している。TOPIXは-24.12の1150.44。売買高は23億株、売買代金は2兆2808億円で、久々に2兆円台を回復した。
値上がり銘柄は116、値下がり銘柄は1642で全体の91%を占めた。全セクターがマイナスで、下落率が小さいのは鉱業、食料品、石油・石炭、空運、医薬品、情報・通信など。下落率が大きいのは不動産、海運、パルプ・紙、その他金融、銀行、証券などだった。
日経平均採用225種の値上がりは10銘柄、値下がりは214銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>で+4円、2位は花王<4452>で+1円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-38円、2位はKDDI<9433>で-16円だった。
「黒田会見失望売り」で銀行は全面安になり、みずほ<8411>は4円安、三菱UFJ<8306>は16円安、三井住友FG<8316>は140円安。証券セクターはこの日も軟調が続き、野村HD<8604>は13円安、大和証券G<8601>は28円安で、ともに年初来安値を更新した。他に岡三証券G<8609>、東洋証券<8614>、東海東京FHD<8616>、松井証券<8628>、カブドットコム証券<8703>などが年初来安値を更新した。