【日経平均】日銀会合はやはり何も出ず201円安3日続落

2014年04月08日 21:10

 7日のNYダウは166ドル安で3日続落。NASDAQは4000台の維持もおぼつかない。「忘れた頃のウクライナ」で、東部の都市で親ロシア派が州庁舎や市役所を占拠し、炭鉱町のドネツクで「共和国宣言」を出し住民投票実施を表明した。中世のイワン雷帝も顔負けの謀略工作で、地政学的リスクの拡大に震撼したヨーロッパ各国市場が下落しリスクオフの波が大西洋を越えた。大寒波の影響を受ける1~3月決算への警戒感もネット、バイオなど「グロース株」中心に株価を押し下げた。それでも8日朝方の為替レートは、ドル円は103円台前半、ユーロ円は141円台後半で前日夕方とあまり変わらない水準だった。

 4日のシカゴCME先物清算値は14715円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は売り越しで、日経平均は93.05円安の14715.80円とCME清算値にさや寄せして始まった。序盤は2月の経常収支が5カ月ぶり黒字というニュースがあったためか14700円近辺で意外な底堅さ。それでも午前9時20分すぎから徐々に下げ、為替のドル円が103円を割って10時9分には14605円まで下げる。商いは薄く前場は日銀会合の結果を待つムード。10時台は三連休明けの上海市場も香港市場もプラスで始まったこともありファーストリテイリング<9983>がプラスで踏ん張って日経平均は14670円近辺まで徐々に株価を上げていた。その後は14650円前後の水準での小動きが続き、前引は14641円だった。

 正午前に日銀の金融政策決定会合の結果発表。大方の予想通り全員一致で「現状維持」。先物は直後に為替ともども「ミニ乱高下」で反応したが14600円台の範囲にとどまる。イベントドリブンの先回り買いは前週末から約400円下落して処分終了。7日に254円も下げたためショックが緩和された。昼休み中だった現物は後場は下げ幅を圧縮して始まり、先物の上昇に伴い14700円を突破。午後0時40分に14740円まで上昇するが売買が伴わず、1時前には14600円台に逆戻りした。

 2時に3月の景気ウォッチャー調査の結果が発表され、現状判断は2月から4.9ポイント改善して57.9だったが、先行判断は2月調査の衝撃の40.0からさらに悪化して34.7。こんなに低いのは2011年3月以来で、消費増税の街角景気へのネガティブインパクトは東日本大震災並み、ということ。それでも東京市場は反応薄で、3時30分からの黒田総裁の記者会見待ちで様子見ムードがひろがっていた。2時台はジリジリ下げ大引け間際に急落したが14600円台は維持し、終値は201.97円安の14606.88円。日中値幅は135円だった。TOPIXは-22.28の1174.56で日経平均より下落幅が大きい。売買高は19億株、売買代金は1兆9680億円。前週はアメリカ雇用統計待ちで、日銀会合の結果待ちの次は黒田総裁の会見待ちで、その後は11日のSQ待ちと、4月の東京市場は待ってばかり。これではいつまでたっても薄商いは治らない。

 値上がり銘柄は139、値下がり銘柄は全体の9割を占める1631。全セクターがマイナスで、下落幅が小さい業種は水産・農林、小売、サービス、食料品、陸運、化学工業など。大きい業種は証券、鉱業、医薬品、ゴム製品、その他金融、情報・通信などだった。

 日経平均採用225種の値上がりは24銘柄、値下がりは193銘柄。プラス寄与度1位は245円高のファーストリテイリングで+9円、2位はセコム<9735>で+2円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-39円、2位はファナック<6954>で-11円だった。

 メガバンクは下げ幅がきつく、みずほ<8411>は1円安だったが三菱UFJ<8306>は11円安、三井住友FG<8316>は155円安。証券セクターは野村HD<8604>20円安、大和証券G<8601>40円安で業種別騰落率最下位に沈んだ。自動車大手はトヨタ<7203>は135円安、ホンダ<7267>は116円安で、関連銘柄もデンソー<6902>100円安、ブリヂストン<5108>120円安と3ケタ安が並んだ。電機もソニー<6758>27円安、パナソニック<6752>33円安、シャープ<6753>12円安、NEC<6701>12円安などいいところなし。日本電産<6594>は276円安と派手に売られていた。

 神戸製鋼<5406>は、1000億円を投資して神戸製鉄所の高炉跡に100万KWの石炭火力発電所を建設すると発表したが4円安。関西電力<9503>に売電する。旭硝子<5201>は1~3月期の営業利益が21%減の140億円という業績観測記事が出て1円安。住友大阪セメント<5232>は前日終値で始まった後、終日プラスをキープし続けて目立っていたが、終値は値動きなしだった。

 石油資源開発<1662>は秋田県由利本荘市でシェールオイルを国内で初生産と発表しプラスで始まったが95円安。日産35キロリットルと少量だがコストの安い国産資源として期待される。三井海洋開発<6269>は前日に公募増資、第三者割当増資、売出しなど合計約230億円のファイナンスを発表。発行済株式数が2割以上増えるので希薄化懸念、需給悪化懸念が出て、170円安で年初来安値を更新し値下がり率5位になった。