【今週の振り返り】「春の嵐」吹きやまず1103円も下落した週

2014年04月12日 20:34

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8日の「サムライトーク」で、日銀の黒田総裁は「嵐を呼ぶ男」と化した

 8日のNYダウは10ドル高で4営業日ぶりに反発した。NASDAQも反発。アマゾン、グーグル、フェイスブックなど「モメンタム株」のハイテク銘柄が買い直されたとはいえ朝の底値からの自律反発の色彩が強く、NYダウは前日比50ドル高近辺まで上昇するとあっさり上値を抑えられた。決算発表待ちムードも根強く、ウクライナでは特殊部隊が出動してデモ隊を排除し緊張が高まっている。9日朝方の為替レートはドル円は101円台後半、ユーロ円が140円台後半と約3週間ぶりの円高水準になった。

 円高は前日大引け後の黒田総裁の記者会見で早期緩和期待が剥落したことが大きい。緩和を匂わせてご機嫌をうかがうどころか、「GDP(需給)ギャップはほとんどゼロに近い」など金融政策現状維持、物価目標達成に自信みなぎるサムライぶり。日経平均は170.83円安の14436.05円で始まった。序盤はドル円が102円にタッチする円高修正もあり午前9時24分に14502円まで上昇するが、折り返して9時58分には14400円を割り込む。10時14分に14358円まで下げるが、その後はおおむね14300円台後半の14400円に近い水準で推移して動きに乏しい。韓国、台湾だけでなく上海も香港も続伸で始まりアジアで東京市場だけが下落。前引は14340円だった。

 後場も14300円をたびたび割り込んで午後1時に14292円まで下げるなど軟調が続く。2時10分に14279円まで下げても一時的。大引けでは14300円を割り込んで終値は307.19円安の14299.69円。日中値幅は223円だった。日経平均は3日連続で200円超の下落を喫しTOPIXともども4日続落。TOPIXは-24.12の1150.44。売買高は23億株、売買代金は2兆2808億円で、久々に2兆円台を回復した。

 全セクターがマイナスで、下落率が小さいのは鉱業、食料品、石油・石炭、空運、医薬品、情報・通信など。下落率が大きいのは不動産、海運、パルプ・紙、その他金融、銀行、証券などだった。

 9日のNYダウは181ドルの大幅高。NASDAQも70ポイント上昇した。ムードを良くしたのは午後発表の3月のFOMCの議事要旨。16人ほぼ全員が超低金利を2015年まで維持するのが妥当と言い、インフレ率の低迷やウクライナ情勢、中国経済の減速にも目くばせしていたことがわかった。10日朝方の為替レートはドル円102円近辺、ユーロ円141円台前半で若干円安に振れていた。

 日経平均は184.85円高の14484.54円で始まった。午前9時5分には14513円まで上昇するが14500円台の時間は短く、14400円台の値動きが11時頃まで長く続く。トヨタ<7203>など下落する主力株が散見され、日経平均もTOPIXも上値を抑えられた。10時30分発表のオーストラリアの3月の雇用統計が改善して豪ドルが急騰しても反応しなかった。11時に経済指標の発表が2件。3月の東京都区部オフィス空室率は前月比0.31ポイント改善し6.70%。ところが〃伏魔殿〃の中国からもたらされた3月の貿易統計は立ち直りかけた東京市場に水をぶっかけた。輸出は6.6%減、輸入は11.3%減。市場予測はどちらもプラスだったのでまさにネガティブサプライズ。プラスで始まった上海市場も香港市場も急落し、為替は円高に振れ日経平均は14400円を割り込んだ。11時16分には14376円まで下げ、前引は14398円。

 後場はこの日の安値で再開し、為替の円高がおさまらないため先物主導で下落し午後0時53分に一時14300円を割り込んでマイナスまで転落。その後は15300円をはさんでプラスとマイナスを行ったり来たりする。1時51分には14234円まで下げた。終値は0.43円高の14300.12で5日ぶり反発。たった43銭差でアベノミクス相場初の5日続落は阻止された。日中値幅は279円。TOPIXは-0.95の1149.49で5日続落。売買高は19億株、前日は5日ぶりに2兆円を超えた売買代金も1兆8321億円と逆戻りした。

 業種別騰落率プラス上位は非鉄金属、卸売、繊維、電気機器、精密機器、化学工業など。マイナス下位は電気・ガス、保険、輸送用機器、石油・石炭、水産・農林、情報・通信などだった。

 10日のNYダウは266ドルの大幅反落。ネガティブサプライズで東京市場を混乱させた中国の貿易統計はウォール街もかく乱し、新規失業保険申請件数が改善した好材料を打ち消した。ロシアがウクライナへのガスの供給を止めると脅してヨーロッパの不安が高まり、市場心理も決算シーズンを前にデリケート。フェイスブックが5.2%下落するなどハイテク銘柄が多いNASDAQの軟調ぶりがひどく129ポイントも落ち込む。11日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が140円台後半で、前日夕方とそれほど変わらない水準だった。