【今週の振り返り】「春の嵐」吹きやまず1103円も下落した週

2014年04月12日 20:34

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8日の「サムライトーク」で、日銀の黒田総裁は「嵐を呼ぶ男」と化した

 前週末4日のNYダウは159ドル安。3月の雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比19.2万人増で市場予測の約20万人増に近い水準で、1、2月の数字はそれぞれ1.5万人、2.2万人上方修正された。失業率は6.7%で横ばい。これを受け午前中にザラ場ベースの過去最高値を更新したが、その後は利益確定売りに押されマイナスに落ち、徐々に下げ幅をひろげた。ネット関連やバイオなどで割高感のあった銘柄を中心に下落したNASDAQは110ドル安で2ヵ月ぶりの安値。イエレン議長がこだわる雇用の懸念が遠のけばFRBの利上げ時期が早まるという見方が出たほか、司法省がインサイダー取引の疑いで超高速取引(HFT)の調査に入ったことも影響した。7日朝方の為替レートは、ドル円は103円台前半、ユーロ円は141円台半ばで、前週末と比べると円高方向に振れた。

 日経平均は182.95円安の14880.82円と15000円を割って始まった。下落しても午前9時34分の14808円止まり。中国本土市場は休場で、香港ハンセン指数は続落スタートしたが、それでも10時台以後は日経平均はおおむね14800円台後半で推移し、TOPIXは1200台をキープ。小動きが続いて前引は14861円だった。

 後場も前場と同じように14800円台後半の値動きだったが、TOPIXが時々1200を下回るようになり、午後1時40分頃から為替が円高方向に動いて日経平均は14800円台前半に後退。2月の景気動向指数速報値が発表されると14800円を割った。その一致指数は1月から1.8ポイント低下し、先行指数は4.6ポイント低下と、先行きだけでなく現状も悪化した。ドル円が一時103円を割り込むと先物主導で2時29分に14764円まで下げたが、その後は14800円を回復して終値は254.92円安の14808.85円と続落した。大幅安でも日中値幅は131円と小さかった。TOPIXは-19.05の1196.84で1200の大台を下回った。売買高は17億株、売買代金は1兆6658億円で今年最少の4日よりは多かったが依然として薄商い。

 業種別騰落率のプラスは鉱業1業種のみ。マイナス幅が小さい業種は空運、石油・石炭、パルプ・紙、医薬品、小売など。マイナスが大きい業種はその他金融、証券、情報・通信、不動産、銀行、保険などだった。

 7日のNYダウは166ドル安で3日続落。NASDAQは4000台の維持もおぼつかない。ウクライナ東部の都市で親ロシア派が州庁舎や市役所を占拠し、炭鉱町のドネツクで「共和国宣言」を出し住民投票実施を表明した。地政学的リスクの拡大に震撼したヨーロッパ各国市場が下落しリスクオフの波が大西洋を越えた。大寒波の影響を受ける1~3月決算への警戒感もネット、バイオなど「グロース株」中心に株価を押し下げた。それでも8日朝方の為替レートは、ドル円は103円台前半、ユーロ円は141円台後半で前日夕方とあまり変わらない水準だった。

 日経平均は93.05円安の14715.80円で始まった。序盤は14700円近辺で意外な底堅さ。それでも午前9時20分すぎから徐々に下げ、為替のドル円が103円を割って10時9分には14605円まで下げる。商いは薄く前場は日銀会合の結果を待つムード。10時台は三連休明けの上海市場も香港市場もプラスで始まったこともありファーストリテイリング<9983>がプラスで踏ん張って日経平均は14670円近辺まで徐々に株価を上げていた。その後は14650円前後の水準での小動きが続き、前引は14641円だった。

 正午前に日銀の金融政策決定会合の結果発表。大方の予想通り全員一致で「現状維持」。先物は直後に為替ともども「ミニ乱高下」で反応したが14600円台の範囲にとどまる。現物は後場は下げ幅を圧縮して始まり、先物の上昇に伴い14700円を突破。午後0時40分に14740円まで上昇するが売買が伴わず、1時前には14600円台に逆戻りした。

 2時に3月の景気ウォッチャー調査の結果が発表され、現状判断は2月から4.9ポイント改善して57.9だったが、先行判断は2月調査の40.0からさらに悪化して34.7。こんなに低いのは2011年3月以来で、消費増税の街角景気へのネガティブインパクトは東日本大震災並み。それでも東京市場は反応薄で、3時30分からの黒田総裁の記者会見待ちで様子見ムードがひろがっていた。2時台はジリジリ下げ大引け間際に急落したが14600円台は維持し、終値は201.97円安の14606.88円。日中値幅は135円だった。TOPIXは-22.28の1174.56で日経平均より下落幅が大きい。売買高は19億株、売買代金は1兆9680億円。

 全セクターがマイナスで、下落幅が小さい業種は水産・農林、小売、サービス、食料品、陸運、化学工業など。大きい業種は証券、鉱業、医薬品、ゴム製品、その他金融、情報・通信などだった。