「環境」と「安全」を切り口に目覚ましい技術革新を続ける自動車技術。その発展を裏付けるかのように、各種電装システムやデバイス&コンポーネンツ市場も拡大し続けている。富士キメラ総研によれば、電装システム20品目の2013年市場は、前年比3.4%増の12兆7,387億円だが、今後も各分野とも大幅な市場拡大が期待される。特に環境規制の強化によってパワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系が拡大し、25年には2.1倍の26兆5,650億円に上る見込みだ。
富士キメラ総研は、電装システム20品目、情報機器5品目、デバイス&コンポーネンツ29品目、ECU1品目、ECU構成デバイス12品目の合計67品目を対象とし、市場の現状を分析し今後を予測した。
最も市場規模が大きいのはパワートレイン系で、13年の市場は6兆5,912億円となった。環境規制の強化、また燃費改善に向けて、今後も搭載が増加するとみられる。規制対策においては、運転状況に応じた最適で緻密な制御をするための研究開発が進められている。20年以降の環境規制をクリアするために、日本ではガソリンエンジン+ハイブリッドシステム、米国では変速制御の多段化、欧州ではダウンサイジングエンジン+マイクロハイブリッドシステムが推進されるとみられる。
HV/PHV/EV/FCV系は、最も急成長が期待される分野であり、25年には13年比6.1倍の4兆3,276億円が予測される。走行安全系は、ADAS(先進運転支援システム)の高い成長を軸に市場が拡大するとみられ、25年には13年比2.0倍の3兆8,642億円が予測される。
ボディ系は、ボディ統合制御システムなど、先進国では既に搭載率が高いシステムもあるため、他分野に比べて市場の成長率はやや低めである。とは言え、新興国の需要を取り込み、25年には13年比36.8%増の3兆1,037億円が予測される。情報系は、他システムとの統合を図りながら市場を拡大させ、25年には13年比3.6倍の4兆5,698億円と予測された。
環境に配慮した次世代自動車として注目の集まるHV/PHV/EV/FCV系だが、市場予測でも25年には13年比で6倍に拡大することが予測され、市場の急発展が見込まれる。この数字を見ると10年後には、車を選ぶ際の第一選択肢として、当たり前のように次世代自動車が挙げられるようになるのかもしれない。(編集担当:横井楓)