100万円受領で大学院教授が解雇、現代の大学院の実態とは

2014年04月13日 14:38

 東京大学の大学院教授が、教授就任の祝儀として100万円を受け取っていたとして論旨解雇処分を受けていたことがわかった。同教授は、知人男性から100万円を受領。その後男性は、同教授が審査員を務める大学院試験を受験したが不合格となっている。当初は、男性に大学院受験に際して便宜を計るなどの内容を示していたが、受験直前になって態度を一転させたという。男性が大学に相談したことから受領が発覚した。
 
 教授の素性、男性との関係などは明らかにされていないが、ここには大学院入試をめぐる根本的な問題が存在すると考えられる。かつては大学院といえば将来的には大学教授を目指す研究者育成の要素が強いものであった。しかし1990年代以降は大学院重点化政策が行われたことにより、その内容が変わりつつある。それは、大学院の定員が増える、これまで学部に所属していた大学教授を大学院教授とする、さらに学部に対応しない大学院の設置などである。大学院の定員増の中には、学部を卒業してそのまま持ち上がりになる23歳の大学院生ばかりではなく、社会人経験を経て入学してくる学生や、会社に通いながら通う学生、さらには老後の勉学として通う学生などが含まれる。さらにこれまでは例えば経済学部には、経済学研究科が対応という形であったのだが、対応する学部が存在しない大学、さらに学部を持たない大学院大学なども数多く設置されるようになった。弁護士など法曹人口の増加を目指して設置された法科大学院(ロースクール)もその1つに数えられるだろう。
 
 100万円を渡した男性もそういった大学院重点化政策を受けて大学院を目指すようになったのかもしれない。さらに東京大学は日本の大学の最高峰であるが、学部の入試よりも大学院入試の方が入りやすいということもあって、目指す人間も増えている。なんとも、筆者のような50代の者にとっては、東京大学の権威もここまで落ちたかと思うと複雑な気分である。(編集担当:久保田雄城)