コンビニコーヒーの台頭の中で、伸び続ける缶コーヒー飲料

2014年04月19日 20:22

 近頃、「コンビニコーヒー」の台頭が目覚しい。「コンビニコーヒー」とは、文字通りコンビニの店内で提供されるコーヒーのことで、顧客はレジで代金を支払って専用のカップを受け取り、セルフでコーヒーを入れる。その都度、機械が一杯分ずつ豆を挽いてくれるので、本格的な味と香りが楽しめると評判を呼び、日経トレンディが選ぶ2013年のヒット商品第1位にも輝いたほどの人気ぶりだ。中でもセブンイレブンの「セブンカフェ」の人気は、飛ぶ鳥を落とす勢いのコンビニコーヒーの中でも群を抜いており、セブン&アイ・ホールディングスでは、初年度の年間販売目標を当初は3億杯としていたが、4億5000万杯に上方修正している。また、総務省統計局が行った家計調査によると、昨年3月からコーヒー飲料に対する月別支出額は増加傾向が続いており、これはコンビニコーヒーの大ヒットが大きく影響していると見られている。

 そんな中、気になるのが既存の飲食業界や飲料業界の動向だ。ところが、意外にもカフェ人気は健在で、カフェ人気を牽引するスターバックスコーヒージャパン<2712>では、2013年4~9月期の単独決算において、前年同期比35%増で過去最高となる43億円を記録し、売上高も順調に伸ばしている。さらに新店舗の出店も加速させており、昨年ついに日本全国で1000店舗を突破した。

 とはいえ、コンビニや量販店で缶コーヒーを展開する飲料業界にとっては、ターゲットとなる顧客層や市場が被ることからも、やはり影響は大きいようだ。しかし、大手各社が軒並み缶コーヒーの販売に苦戦する中、2013年度でコーヒーの販売数量を1.3パーセント増に伸ばしているメーカーもある。38年続くロングセラーブランド「ダイドーブレンド」を展開する、ダイドードリンコ<2590>だ。同社では2013年、コーヒーブランドの強化を徹底的に行った結果、コンビニコーヒーの躍進や、掻き入れ時である夏場の天候不順などのマイナス要素の大きい中でも一定の成果を挙げたとしており、2014年度も引き続き、「ダイドーブレンド」シリーズのラインナップ強化を図る。

 現在発表されているものでは、2012年のワールドバリスタチャンピオンに輝いたラウル・ロダス氏の監修のもとで、焙煎はもとよりブレンド配合比率から調合まで徹底追及した「ダイドーブレンド BLACK」を、この春からラインナップに加える。また、缶コーヒーのメインユーザーである30~50代の男性をターゲットに、食事と一緒に飲用することで糖の吸収を抑え、食後の血糖値上昇をおだやかにする、トクホコーヒー「スマートショットブラック」を4月7日より、コンビニエンスストア、量販店、および全国の自動販売機等でリニューアル発売する。

 また、同社では新商品の発売に合わせて、新商品を対象に、ミニ四駆のフリクションカーがついてくる「ダイドーブレンド×ダッシュ!四駆郎」コラボキャンペーンや、1台1台を手作業製作することで、量産車にはない独創的なデザインのクルマを創りだす光岡自動車のプルバックミニカー(全8種)がついてくる「ダイドーブレンド×MITSUOKA」コラボキャンペーンなどを展開することで、コンビニコーヒーにはない付加価値をつけた販促を展開する。

 ここ数年の、無糖や微糖コーヒーブームや、デカフェの登場で女性のコーヒーシェアも増加傾向にあるという。また、コンビニコーヒーの人気によって、とくに外で働く女性に需要が広がりつつあるようだ。コンビニコーヒーの台頭は、コーヒー関連業界にとって決して脅威だけではなく、停滞する業界に活気をもたらし、底上げに繋がる好材料となるかもしれない。(編集担当:石井絢子)