ドリンク商戦の今年のキーワードは「香り」

2014年02月22日 19:33

 矢野経済研究所が2013年11月に発表した「飲料市場に関する調査結果2013」によると、牛乳や乳飲料を含む2013年度の飲料市場規模はメーカー出荷金額ベースで前年度比102.7%の5兆750億円と拡大基調となっている。

 最盛期の夏場が猛暑であったこと、また残暑も厳しかったことに加え、30代以上の中年層をターゲットにした炭酸飲料や、特定保健飲料の売り上げが予想を上回るヒット商品となったことなどが、好調の主な原因と考えられる。また、それ以外にも、飲料メーカー各社において、新商品分野の開拓や新商品提案などの商品戦略が功を奏したとみられる。

 カロリーオフの商品は安定した人気を誇っているが、近年では女性だけに限らず、カロリーや肥満体系を気にする健康志向の男性にも需要が広がっている。また、ここ2~3年の間で急に商品数が増えているのが、カフェインゼロの商品だ。眠りを妨げないということだけでなく、美肌効果もあるといわれており女性を中心に人気を得ている。また、妊娠中や授乳中でも気にせずに飲めるお茶であるのも人気の理由のようだ。コカ・コーラ社の「爽健美茶 すっきりブレンド」やアサヒ飲料<2598>の「十六茶」、伊藤園<2593>の「TEAS’TEA」などが、カフェインゼロの茶系飲料として人気を得ている。さらにここに、今年の飲料業界の重要なファクターとなりそうなキーワードが「香り」だ。

 飲料市場全体では拡大傾向にあるものの、お茶・紅茶の売り上げはここ数年に渡って横ばいが続いている。しかし、その中で健闘しているのがジャスミンティーを含めた「香り」を売り物にしたフレーバーティーだ。飲料以外の日用品や日常でも「香り」をウリにした商品が増えており、それらの相乗効果も手伝って、消費者の香りに対する意識や楽しみ方が浸透してきたのだろう。とはいえ、ただ匂いが強ければ良いというものではない。香りの強さやインパクトよりも、「質」が求められる傾向にある。一つの理由としては、「贅沢な香り」や「質の良い香り」によって、日常のストレスなどを発散させてリフレッシュしたいという意識が働いているのではないだろうか。

 香り系の飲料といえば、まず思い浮かぶのがコーヒーだ。ジャストシステム<4686>が「無糖系コーヒー飲料」を一日平均1本以上飲む10代~60代の男女377人を対象に行った「無糖系缶入りコーヒー飲料ランキング調査」(2013年11月実施)の結果によると、最も香りが良いと思う無糖系缶入りコーヒー飲料の1位は18.6パーセントの支持を得たJT<2914>の「Roots アロマブラックオリジナル」、2位は9.0パーセントでUCCの「BLACK 無糖」、3位はまたもやJTの「Roots アロマインパクトブラッククリスタル」が8.8パーセントの支持を獲得する結果となった。

 一方、茶系飲料では、若い主婦層からの人気が高く「食べるラー油」などのヒット商品を生んだことでも知られる光文社の雑誌「Mart」の新商品グランプリで、ダイドードリンコの「贅沢香茶」が2回連続で上位入賞を果たして、読者層を中心に注目を集めている。

 贅沢香茶は、「フレーバーパック抽出」「香り素材ダイレクト抽出」「香り圧力抽出」と、3つの香り抽出製法を駆使し、飲みはじめから余韻までの香り立ちを進化させることに成功した、まさに香りを追求した飲料となっている。さらに、カロリーオフな上にカフェインゼロとあって、女性客を中心に愛飲している人が増えているようだ。ちなみに、贅沢香茶シリーズの「ジャスミンティー」は2月17日、「ピーチ&ローズヒップティー」は2月24日からパッケージデザインを一新して発売される。

 冬が終わればすぐに、ドリンク商戦の本番である夏がやってくる。爽やかな香りの飲料は、夏場でも人気を博しそうだ。(編集担当:石井絢子)