「環境未来都市」の富山市が日産の電気トラックの運行実証実験を開始

2014年04月18日 20:48

 電気自動車「リーフ」でEV開発・量産において先行。「チョイモビ横浜」などで自治体と共同で超小型EV(電気自動車)による都市型カーシェアリングの実験を行なっている日産自動車。2014年中には小型商用バンの電気自動車「e-NV200」を欧州と日本市場に投入する予定だ。その日産が、新たなEVの実証実験を開始した。

 日産と富山市が協力して100%電気で稼働するトラック「日産e-NT400テストトラック」の実証運行を4月15日から始めた。

 富山市は2011年12月に「環境未来都市」として国から選定された。環境未来都市とは、日本を低炭素社会に転換していくため、環境・超高齢化対応などに向けた、人間中心の新たな価値を創造・目指す都市を選定・支援し、未来の低炭素都市像を世界に提示。加えて生活の基盤としての教育、医療・介護、エネルキー、情報通信技術等に関する社会経済システムの適用を集中実施する自治体である。

 富山市では、この指定に伴い、「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」をテーマに、質の高い魅力的な市民生活や地域特性を活かした産業振興などに取り組んでいる。同時に、環境問題や超高齢化などの課題に対応した持続可能な都市の実現を目指しているという。

 今回の電気トラックの実証運行は、その取り組みのひとつとして実施。富山市は日産が貸与する「e-NT400テストトラック」のモニター車を約2カ月間、富山市環境センターの資源ごみ回収車として運行する。資源ごみ回収ステーションから処理場への輸送業務用として電気トラックを活用し実用性を検証するわけだ。

 日産は、実験で得られたデータをもとに、走行性能や充電の運用などに関する検証を進め、今後の開発に生かす。

 100%電気トラック「e-NT400テストトラック」は、同社の小型トラック「アトラス」をベースに、「日産リーフ」のコンポーネント(モーターやバッテリー)を活用したEVシステムを搭載。画期的なゼロエミッションの小型トラックとして将来の量産化を目指している。

 また、排気ガスを一切出さないことから、クルマ乗り入れ制限のある国立公園など観光エリアにも入っていける。同時に低騒音で、深夜の住宅地などでも運行しやすい車両だ。EVシステムは、80kWの電動モーターと高出力・大容量のリチウムイオンバッテリーにより、振動が少なくスムーズな加速と乗り心地を実現。ドライバーにとっても新しい運転感覚を提供する環境に優しいトラックとして期待されている。今回のモニター車はJC08運行モードで約62kmまで連続走行が可能だ。しかも、30分間で容量の80%まで充電可能な急速充電機を内蔵している。

 日産では、EVの開発だけではなく、EV普及によって持続可能なモビリティ社会を構築するために包括的に取り組んでいる。リチウムイオンバッテリーの生産&リサイクル、そして充電インフラの整備、内製急速充電器の開発にいたるまで多岐にわたっている。

 さらに、ルノー・日産アライアンスとして、世界各国の政府や自治体、企業などと、すでに100件を超えるゼロエミッション・モビリティについてパートナーシップを締結している。(編集担当:吉田恒)