ロート製薬、人気の「糀肌(こうじはだ)」シリーズに化粧水をラインナップ

2014年04月19日 19:17

 ロート製薬株式会社は4月8日、新潟の糀専門店・古町糀製造所と共同開発で展開しているスキンケア製品「糀肌」シリーズの第3弾となる「糀肌けしょうすい」(本体・つめかえ用)の販売をロート製薬通信販売にて開始した。

 昨今、料理に用いる「塩糀」ブームも相まって、糀の栄養成分・美容成分が脚光を浴びている。「コウジ」には「麹」と「糀」の2種類の漢字が使い分けられるが、前者は米、麦、大豆などの穀類全般で作ったコウジ、後者は蒸し米に麹菌をつけて発酵させたコウジにのみ用いられる。蒸米の表面でふわふわと発酵した菌糸がまるで綿花のようであることが、その名の由来だといわれている。

 ロート製薬がこの糀の美容成分に目をつけたのは、糀がまだそれほどブームに成る前の話だ。2001年に化粧品分野に進出した同社は、同社の看板製品でもある目薬で培った信頼も手伝って好調に売り上げを伸ばし、 急成長を遂げた。しかし、その現状に満足せず、一過性のブームに左右されない息の長い商品を開発しようと着目した素材が「糀」だった。糀にはビタミンやアミノ酸が豊富に含まれており、健康に関心の高い人たちからは以前から注目されていた素材だ。また、日本酒の製造に携わる職人たちからも、製造過程で糀を扱うときは手肌が輝くといわれるほど、美容成分が含まれていることでも知られている。これは糀が持つ、独特の保湿成分の恩恵によるものだと考えられる。

 一方、古町糀製造所の方は、それまでにも幾度となく大企業から業務提携や共同開発の話が持ちかけられていたが、これをことごとく断り続けてきたという。理由は、利益を最優先にする大企業のマスマーケットの考え方と、地元のものを地域密着で製造しようとする古町糀のものづくりのコンセプトが真逆だったからだ。ところが、同じ大企業でもロート製薬はこのとき、マスマーケットの考え方をあえて封印して、単純な売り上げ以上のものづくりを目指そうとしていた。そのことで、両社の見解が一致し、共同開発が実現したのだ。そうして2012年9月に発売されたのが、「糀肌」シリーズの第1弾「古町糀製造所 糀肌 くりーむ」だった。

 同商品は、 そして、第2弾の「古町糀製造所 糀肌 せっけん」も好評で、これらの愛用者たちから、「糀肌シリーズの化粧水が欲しい」という要望が多く寄せられたことから、今回第3弾となる「糀肌けしょうすい」の販売となったわけだ。

 「糀肌けしょうすい」は、ロートと古町糀が独自開発した糀エキス「白糀コメエキス」を配合し、自然の食材の持つ力に着目した保湿成分を配合して作られた、「糀ドリンク」をイメージしたとろみのある、栄養たっぷりの化粧水となっている。肌になじみやすく、使用感も良いと評判だ。ちなみに「糀肌けしょうすい」は3月に受注予約を受け付けたのだが、 初回生産分は全てこの予約だけで完売したという。

 企業であるからには、利益を最優先に考えることは、決して間違った考え方ではない。しかしながら、「糀肌シリーズ」のように、利益のさらにその向うにあるものを考えることが、より大きな利益を引き出すヒット商品を誕生させるための原動力となるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)