スズキがハイブリッド車を再開発する本当の理由とは

2014年04月19日 20:13

 自動車業界は今や熾烈な燃費競争に突入している。特にガソリン車では、かつての馬力競争を彷彿させるほどのデッドヒートぶりで、小数点単位での燃費を各メーカーが競いあっているのだ。とはいえ、やはりガソリン車には限界があるのも事実だろう。なんといっても今の時代、ハイブリッド(HV)車が主役なのである。それを裏付けるように、昨年度の国内新車販売台数の1、2位はトヨタ<7203>の「アクア」「プリウス」であった。

 そんな中、HV車を再開発することをスズキ<7269>が、16日明らかにした。これは同社にとって、2003年から2年間販売した軽自動車「ツイン」のハイブリッド以来のことである。当時、この「ツイン」は軽自動車初のハイブリッドということで業界の注目は浴びたのだが、高価格が災いして販売は芳しくなく、その後受注生産に変更したが、結局販売を終了してしまった。

 今回のハイブリッドは、モーターがエンジンの動力をアシストする簡易タイプのHVシステムでまずは小型車から導入し、軽自動車に広げていく予定だ。スズキは、既に減速時に発生するエネルギーでつくった電気をリチウムイオン電池に蓄え、ヘッドランプなどの電装品に供給する技術「エネチャージ」を「ワゴンR」などに搭載しているが、この技術を応用して、今度はエンジンの動力をアシストできるようにするという。この簡易型のハイブリッドは、「プリウス」などとは違い、電気だけでの走行はできない。しかし同社は、ガソリンエンジンの性能向上を受けて、このシステムでも当面は十分な燃費性能を確保できると判断している。

 スズキは元々、ガソリン車で燃費競争のトップ争いに加わることもあるメーカーだ。しかしガソリン車の限界を考慮し、危機感を持った上で今回の決断に至ったのだろう。つまりこれは華々しい技術革新というわけではなく、燃費競争の必要に迫られての、ある意味苦渋の判断であったかもしれない。だからこそ本格的なものではなく簡易型のシステムを導入したのだろう。とはいえ、実際にどんな燃費を叩き出すのか、非常に楽しみではある。(編集担当:久保田雄城)