トヨタ自動車<7203>は25日、資源枯渇が懸念される銅資源を使用したワイヤーハーネスに関して、矢崎総業や豊田通商<8015>、そして豊田通商と取引関係にある中部地方の解体業者8社と連携し、世界で初めて「Car to Carリサイクル技術」を開発したとの発表を行った。この技術により、解体業者が取り外したワイヤーハーネスから、新品の銅とほぼ同様に使用することの出来る品質である、銅純度99.96%の素材の生産が可能となる。これまでワイヤーハーネスに関しては、回収後の樹脂の除去などが困難であったため、リサイクルが進んでいなかった。
「Car to Carリサイクル技術」により生産された銅は、去年3月からハイブリッド車(HV)「プリウス」の配線などですでに使用されているとのこと。トヨタ自動車は2016年以降、年間1000トン規模の再生銅の生産を目指し、さらなる技術開発とコスト削減を推し進め、車両のリサイクルに関して解体業者との連携強化に努め、部品メーカーと解体業者と一体となった「次世代型リサイクルコンセプト」の実現を進めるとしている。
使用済みの車両からワイヤーハーネスを取り外す際、従来の機械式選別方法では、ヒューズボックスなどの部品が付随しそれが不純物となるためリサイクルが困難であった。こうした状況に対してトヨタ自動車らは10年頃より、解体業者の前処理も含めた品質条件の確立といった技術開発を進めてきていた。そして11年に細かな不純物の混入を防止することの出来る機械式選別方法を開発。13年よりトヨタ自動車の本社工場内に設置した実証ラインにて再生銅の少量生産を行い、矢崎総業で品質評価を行った後に、製造ラインに投入し実用化を目指すといった試みを続けて来ていた。その結果、銅の生産が安定的に行えるめどが立ったことから、今回の発表に至った。
現在、銅資源は送電線などのインフラ需要を中心に世界的に需要が拡大しているものの、その資源は40年程度で枯渇するとの可能性が取り沙汰されてきており、トヨタ自動車は今後も技術開発とコスト削減に向けた開発を行うとしている。(編集担当:滝川幸平)