不動産セクターは業種別騰落率トップと好調。三井不動産<8801>は前日発表した決算の内容が今期も3期連続増収、5期連続増益と良く売買代金9位に入り138円高。三菱地所<8802>は61円高、住友不動産<8830>は144円高。東急不動産HD<3289>は54円高で値上がり率14位、東京建物<8804>も24円高。ケネディクス<4321>は1~3月期の営業利益が22%増と発表し売買高3位と買われ43円高で値上がり率2位。タカラレーベン<8897>は太陽光発電マンションなどが好調で3月期決算の営業利益が54%増で過去最高。今期営業利益見通しも5.1%増の103億円で市場予測の100億円を上回り、500万株上限の自社株買いの発表も行って28円高。値上がり率6位に入った。
クレーム対応費用の増加や製品保証引当金の計上などで3月期の業績予想を下方修正した酉島製作所<6363>は194円安で値下がり率1位に甘んじた。エナリス<6079>は公募増資、第三者割当増資のファイナンス実施を嫌気され104円安。最大10.5%の希薄化では規模が大きい。後発医薬品メーカーの日医工<4541>の決算は、3月期は増収ながら減価償却費や研究開発費がかさみ営業利益は従来予想を下回る10%減。さらに中期経営計画最終年度の2016年3月期の営業利益目標を143億円から125億円に下方修正したため、125円安で年初来安値を更新し値下がり率7位になった。
この日の主役はNY市場同様に東京市場も大型M&Aの話題で、三菱ケミカルHD<4188>による大陽日酸<4091>の買収が報じられた。大陽日酸の発行済株式の約27%を保有する三菱ケミカルHDが、発行済株式の過半数の取得を目指し年内に1000億円超の資金でTOBをかけて子会社化するというのがその内容。三菱ケミカルHD側は買収によりシェールガス・オイル関連事業への参入を狙う。「M&Aは買収側(対等なら規模が大きい方)の株が売られ、被買収側(対等なら規模が小さい方)の株が買われる」という原則があるが、三菱ケミカルHDはこの日の地合いの良さも手伝って9円高。大陽日酸は87円高で3日続伸し、年初来高値を更新して値上がり率3位に入った。大陽日酸は燃料電池車(FCV)用の水素ステーションも手がけており、都内2カ所(千住、霞ヶ関)と成田市でただいま営業中。三菱ケミカルHDは燃料電池関連銘柄にも仲間入りする。(編集担当:寺尾淳)