9日に発表された2015年3月期連結決算においてスズキ<7269>は、国内の軽自動車販売台数を60万台とし、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が続くなか、前期とほぼ横ばいの台数を示した。現在日本の軽自動車市場のシェアトップはダイハツ工業<7262>であり、それを追う形のスズキは少しでも同社からシェアを奪いたいと考えている。
軽自動車の市場は消費税増税に伴う駆け込み需要もあって、13年度は前年度比14.7%アップの226万1839台と過去最高を更新。しかしその反動減が予想されることからダイハツ工業では軽自動車の販売台数を66万3000台と予想している。
日本の軽自動車は独自の規格を持っており、時としてそれを「ガラパゴス携帯」からのもじりで「ガラ軽」と呼ぶ向きもあるが、しかしスズキ、ダイハツ工業に関わらず自動車メーカー各社は、日本の軽自動車の性能は世界に通用するものであるとの認識を示しており、消費税増税の反動減により国内での軽自動車の販売台数の減少が予想されるなか、世界市場における日本の軽自動車の普及化を急務と考えている。こうしたことからスズキも、軽自動車を含む四輪車の世界販売計画を前期比1.7%アップの275万6000台としており、うち海外での販売台数を前期比50%アップの208万1000台としている。インド、インドネシア、タイなどのアジアの成長市場を中心に業績を拡大する考えだ。
15年3月期の売上高は前期比2.1%アップの3兆円、営業利益は前期比0.1%アップの1880億円、経常利益は前期比0.1%アップの1980億円、当期純利益は前期比7.0%アップの1150億円との予想を行っている。当期純利益の予想数値が達成されることとなれば、3年連続での過去最高が更新されることとなる。また配当は第2四半期期末で10円、期末で14円、計24円を計画している。
また業績が落ち込んでいた二輪車事業についても業界内での存在感を取り戻すべく、今後成長の見込めるアジア地域を中心に、販売を強化していくとしている。そして前期の二輪車事業はわずかではあるが6期ぶりに黒字となるなど、回復への兆候は見え始めている。(編集担当:滝川幸平)