シャープ<6753>が好調だ。2013年3月期の業績では3年ぶりに黒字化し、売上高も前年期比で増加した。この好調を後押したのは同社の液晶事業が好調に推移したからである。世界の液晶をリードしてきたシャープの好調で「液晶の日本」の復権に期待がかかる。
シャープが12日に発表した2013年3月期(2013年4月1日~14年3月31日)の業績によると、売上高は前期比18.1%増の2兆9271億8600万円、営業利益は1085億6000万円(前期は1462億6600万円の損失)、当期純利益は115億5900万円(同5453億4700万円の損失)と3年ぶりの黒字となった。
この好調の要因は、スマートフォンやタブレット市場が拡大し、そのディスプレイである中小型液晶の需要が拡大したこと。また、TVなどの大型ディスプレイ用液晶には高精細・高画質が求められる時代になり、シャープの場合、4K対応液晶やIZGO液晶など高精細・高画質製品がけん引した。
この結果、液晶製品を含むデバイスビジネスは、液晶の売上高は前期比25.2%増の8147億円となった。また、スマホ向けカメラモジュールや近接センサなどの電子デバイスの売上高は同28.3%増の2973億円となった。
また、家電は、デジタル情報家電では、液晶TVが国内で堅調に推移し、さらに中国や新興国で伸長したことから、売上高は前年比0.2%増の7333億円となった。また、液晶に続く同社の注目事業、太陽電池は国内の住宅用やメガソーラーなどの産業用の販売が伸長したことから、売上高は同68.9%増の4390億円となった。
次期(2015年3月期)についても、通期の売上高は2.5%増の3兆円、当期純利益は159.5%増の300億円と好調が続くと予想している。液晶については、中国のスマートフォン市場前略を中心に展開するとしている。
かつて、液晶は日本の独壇場だった。それをリードしたのはいうまでもなくシャープである。1973年の液晶を使った世界初のポケット電卓以来、日本、世界の液晶業界をけん引してきた。しかし、韓国・台湾勢の低価格戦略でその座を奪われ、それとともに「液晶の日本」も凋落した。
しかし、ここにきて風向きが変わってきた。ディスプレイは大型だけではなく、小型にも高精細・高画質が求められる時代になった。価格だけでは、勝負が難しい時代になった。高い液晶技術を有するシャープが真価を発揮するのはこれからかもしれない。(編集担当:慶尾六郎)