ヤマハ発動機 今年度は滑り出し快調で、中期経営目標の前倒し達成も見えてきた

2014年05月16日 07:27

 ■全ての事業セグメントで増収、増益、黒字化を達成

 ヤマハ発動機<7272>は5月13日、2014年12月期第1四半期(1~3月)の決算を発表した。前年同期比で売上高は9.5%増の3587億円、営業利益は59.0%増の221億円、経常利益は71.4%増の229億円、四半期純利益はほぼ倍増の98.4%増の147億円と、非常に好調な業績をあげている。

 今期の通期業績見通しの売上高1兆5000億円、営業利益750億円、経常利益770億円、当期純利益450億円は据え置きで、年間配当予想も中間13円、期末13円の合計26円で据え置いた。通期見通しに対する進捗率は、売上高は23.9%、営業利益は29.4%、経常利益は29.7%、当期純利益は32.7%だった。

 1~3月期は「二輪車」、「マリン」、「特機」、「その他」の全ての事業セグメント全事業で増収、増益、黒字化を達成。二輪車事業の先進国販売は、前年同期比でヨーロッパで約20%、日本で約35%伸びている。両市場で躍進したのがニューモデルの「MT-09」で、「BOLT」「マジェスティS」などの新商品がユーザーにスムーズに受け入れられた。二輪車の地域別販売実績は、新商品投入が効果をあげた総出荷台数が21%増のインドと販売台数16%増のブラジルの好調さが目立っている。二輪車事業全体では、出荷台数は5.5%減少しながらも売上高は2.7%増加し、円安も寄与して円建ての平均商品単価がアップして全体の利益に貢献している。

 マリン事業は全商品の売上高が伸び、トータルで20.3%拡大した。北米市場での船外機販売が大型機を中心に拡大し利益率向上に寄与している。特機事業は四輪バギー「VIKING」の投入効果が出たRVがゴルフカートとともに約26%の伸びで、事業トータルでは23.5%の売上増だった。IM・PAS事業ではアジアでの産業設備投資が活発で産業用機械・ロボット(IM)の売上高が58%も伸びたほか、「消費増税前の3月の駆け込み需要で自転車が売れた」と言われていた通り、電動アシスト自転車PASの国内販売が3割を超える増加を示した。

 ■粗利益増加、為替差益、コストダウンがコストの上昇を完全にカバーし営業増益

 通期でドル円100円、ユーロ円135円という想定為替レートに変更はない。1~3月期は常にそれより円安で推移し、累計期間の為替換算レートはドル円103円、ユーロ円141円だった。営業利益に対する為替感応度は1円の変動につきドル円が4億円、ユーロ円が1億円と見積もられ、営業利益への為替の影響度はドルが+41億円、ユーロが+17億円、その他が-1億円で、合計+57億円の為替差益が生じていた。

 1~3月期のコスト構造は、インド、インドネシアでの生産増強に伴い前年同期比で設備投資が35.7%増加したのを背景に減価償却費が4.7%増加し、研究開発費は10.3%増加した。有利子負債も販売金融に伴う短期借入金を中心に9.2%増え、販管費も5.7%増加している。それを売上増に伴う粗利益の増加、為替差益、コストダウンが完全にカバーし、営業増益を実現している。

 ヤマハ発動機の中期経営計画は、2015年12月期に売上高1兆6000億円、営業利益800億円、売上高営業利益率5.0%の達成を目指しているが、2014年12月期の見通しでは売上高営業利益率5.0%は達成される見込み。経営陣は事業戦略の補強と見直しにより、中期経営目標達成を早期に果たしたいと考えている。(編集担当:寺尾淳)