消費税が8%に引き上げられ、一カ月半が経った。まだ新しい価格に慣れずに戸惑っている人も多いだろう。店舗の値段表記も未だ外税と内税がまちまちで、新しい税率に慣れるのには、まだもう少し時間がかかりそうだ。
消費増税といえば、まず思い浮かぶのが駆け込み需要。今回も予想に違わず、税率の引き上げが濃厚になった昨年の9月頃から今年の3月にかけて、不動産や車、家電品などの高額商品を中心に駆け込み需要に沸いた。しかし、中には増税前よりも、増税後の今の方が何かとお得なのではという声もある。実際のところはどうなのだろうか。
たかが3%といえど、高額品になると負担は大きい。しかしながら、その負担を軽減する措置も講じられている。例えば、自動車購入に関しては、自動車を購入した際に課される自動車取得税を段階的に引き下げ、15年10月には自動車取得税そのものを撤廃することを決定している。ただし、人気のハイブリッドカーなどは、もともとエコカー減税によって自動車取得税が全額免除されており、増税後のメリットはない。
では、住宅に関してはどうだろうか。増税による住宅市場の駆け込み需要の反動は政府も大きく懸念するところで、「住宅ローン控除」と「住まい給付金」の拡充が図られて対策が講じられている。
住宅ローン控除制度は、これまで幾度となく適用期間の延長や制度の見直しが繰り返されているが、これまでの縮小傾向から一転、平成25年度の税制改正では4年間の延長とともに、消費増税に伴う規模の拡大が図られた。具体的には、平成26年3月まで年20万円だった各年の控除限度額が年40万円に引き上げられたほか、最大控除可能額も200万円から400万円に引き上げられた。また、長期優良住宅や低炭素住宅などの認定住宅の場合、控除限度額は年30万円から年50万円に、最大控除可能額は300万円から500万円に引き上げられている。ただし、ローンの年末残高が2000万円以上である必要があり、それ以下であれば控除額引き上げの恩恵は望めない。
そこで、もう一つ用意されたのが「すまい給付金」制度だ。もともと納税額の少ない低所得者層は、住宅ローン控除制度の恩恵を十分に受けることができない。それを補うため、収入が一定以下の住宅取得者に対して、8%時は最大30万円、10%時は最大50万円が現金で給付される制度だ。これについて、住宅メーカーのアキュラホームの担当者に詳しく話を聞いてみたところ、所得以外にもいくつかの条件が細かく設定されていることが分かった。
すまい給付金の対象となるのは、新築でも中古でも構わないが、床面積50㎡以上の住宅であることが条件となる。また、引上げ後の消費税率が適用されていること、さらに平成26年4月から平成29年12月までの間に引渡されて入居が完了しなければならない。住宅ローンを利用しない現金取得者でも給付対象となるが、その場合は年齢が50歳以上であることが条件となる。
国土交通省がすまい給付金の公式ホームページでは、簡単な情報を入力するだけで給付金額のシミュレーションを行えるが、実際のところ、細かい状況や条件でかなり異なってくるので、専門家等に相談してみる方が良いだろう。
また、住宅や自動車だけに限らず、高額な商品に関してはとくに、増税に伴った優遇措置や軽減措置などが設けられていることも多い。ただし、その条件も細かく設定されているので注意が必要だ。メリットを最大限に活用して、増税年度ならではの恩恵を享受したいものだ。(編集担当:藤原伊織)