汚職天国の中国は生まれ変われるのか

2014年05月18日 18:28

 汚職といえば中国というイメージは強い。特に権力を持つ中央の官僚達は腐敗した政治にまみれているという。つい先日も前政権時代に党の政治局常務委員会のメンバーであった周永康氏が拘束され、汚職の疑いで調べを受けていると報道されたばかりだ。調査は本人だけでなく、その部下や親族にも及び差し押さえられた資産はなんと総額1兆5千億円にものぼるという。ロイター通信によるとこれは「中国建国以来最大のスキャンダル」とのことだ。これまで党政治局常務委員のメンバーは引退後も汚職に関する刑事責任は追及されないという慣例があった。しかし、今回の件でこの悪しき習慣は破られることになるかもしれない。

 また、汚職にまみれているのは軍も同じのようだ。中国国営の新華社によると人民解放軍の谷俊山氏が収賄や公金流用、職権乱用の罪で軍事法廷に起訴された。谷氏が総後勤部副部長の職を解任されたのは2012年。2年越しの報道ということになる。一説によると汚職額は3000円億円を超えると言われ、他にも地位の売買もあったとされている。
 
 習近平政権は汚職に対して厳しい姿勢で臨むことを明らかにしている。「ハエもトラも全て叩く」と評されるその取り締まりは、貧富の差拡大による人民の不満を少しでもやわらげようとする意図があるのは間違いない。

 このような中央政府による動きと連動するように、地方の省レベルでも汚職撲滅に向けた動きは活発化している。広東省は公務員に対し「結婚式や葬式を行う場合は事前に許可を得ること」との規則を新たに制定した。冠婚葬祭の場面には高額な贈答品やご祝儀がつき物であり、これらが贈収賄や不正蓄財の温床となっているためだ。数千万円規模の現金がやり取りされることも珍しくないという。
 
 今後は私的な行事を行う場合は、遅くとも10日前までにその内容について届け出なければならず、費用についても全て年間報告書によって申告しなければならないという。

 前述の通り、中国共産党は汚職事件を公表し関係者を断罪することによって国民の間に溜まったガスを抜こうとしている。しかし一方で、長年の習慣を一気に破壊しようとすれば党内からの反発が大きくなり、政局が不安定化する恐れもある。習近平は汚職にまみれた中国を浄化することができるのか。難しい舵取りは今後も続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)