今の若者にはわからないだろうが、筆者の学生時代の1970年代後半は、「フェアレディZ」というクルマは特別なものだった。簡単にいえば憧れのスポーツカーだ。そのブランドのシンボルともいうべきモデルが国内での販売を終了する。
日産自動車<7201>は、同社の「フェアレディZ」の2シーターオープンモデル、「ロードスター」の日本モデルの生産を、本年9月末受注分をもって終了すると発表した。フェアレディZ「ロードスター」は、クーペモデルのフルモデルチェンジから1年後の2009年10月に、ラインナップに追加されたモデルだ。クーペモデルに対してショートホイールベース化と大幅な軽量化を行うことに加え、3.7リッターエンジンを搭載することで、フェアレディZとしての極めて高い運動性能を実現している。それと共に、オープン時には風の巻き込みが少ない快適な空間と、エアコンディショニングシートにより気持ちのよい走行を楽しめるモデルだ。?
発売以来、今年の4月末までの累計で国内では798台を販売している。優れた動力性能と流麗なデザインが、特にスポーツカーを好まれるユーザーから高い評価を得ているが、今後は、クーペモデルのさらなる進化に注力するとともに、今後発表を予定している新型「フェアレディZ NISMO」を含めたフェアレディZ全体の商品力向上を進めていくとしている。
「フェアレディZ NISMO」の詳細は、今夏に発表されるスケジュールで、エクステリアデザイン刷新による空力特性の最適化や、前後のダウンフォースのバランス最適化により、高速域でのハンドリング性能を向上した、ブランドを牽引するモデルとなる予定だという。
マツダのロードスターは、25年にも及ぶ超寿命車となっているが、このフェアレディZのこのロードスターはたった4年という短命に終わる。残念な気がするが、冷静に考えれば、その4年での販売台数が800台を割り込むという現実をみれば、今回の日産の判断も当然と考えるべきだろう。ともあれ、スポーツカーの時代の終焉、ひとつの時代の終わりを告げるニュースである。(編集担当:久保田雄城)