「Eタイプ・ライトウェイト」の製造は、ジャガー社内において最高水準を誇るクラフトマンが手作業で行なう。オールアルミの6台はすべて、3.8リッター直列6気筒エンジンを含む、1960年代のオリジナルモデルの仕様に忠実に従って造られる。写真は鋭意手作業で生産が進むアルミボディ。
英国の高級スポーツカー・メーカーであるジャガーは、1960年代のオリジナルモデルの仕様を忠実に再現した6台を再生産・製造する。
ジャガーEタイプは、1961年から1975年にかけて7万台超を生産したスポーツカー。「7万台も」なのか「7万台だけ」なのかは見解が分かれるが、個人的には、「当時の自動車としては画期的な高級スポーツカーが“7万台も”作られたことに驚嘆」する。このクルマをお手本としたトヨタ200GTは、300台も生産されていないのだから。
そのなかで「Eタイプ・ライトウェイト」は、ジャガーのレース部門が1963年に製造(1台は1964年に納車)し、計12台が完成しており、うち11台が現存する名車中の名車だ。
当時のEタイプ・ライトウェイトは、多数のオプションを装着した標準ロードスターとしてGTレース出場のための認証を取得。オプションは制作された車両ごとに異なるが、主な改造諸元は、オールアルミニウム製モノコックボディ、アルミニウム製ボディパネル、アルミブロック製エンジン、ワイドアングル・ヘッド、ドライサンプのオイル潤滑システム、燃料噴射システム採用した3.8リッターXKエンジン、アルミニウム製ハードトップ。そして、車台番号の頭文字はすべて「S」となることだ。
E-TYPEライトウェイトは1960年代に、当時の有名レーサーであるグラハム・ヒル、ジャッキー・スチュワートたちをドライバーに迎えてレースに参戦。歴史的に重要なモータースポーツ・シーンにおいて、上位を占める常連として活躍した。
ジャガー&ランドローバー社は、本来1960年代に18台生産される予定だった「Eタイプ・ライトウェイト」が12台しか生産されなかった事実を振り返り、その「Eタイプ・ライトウェイト」を新たに6台生産するというのだ。今回生産されるのは、残り6台だけだ。
ジャガー史上初となる「再生・生産プロジェクト」で、オールアルミニウム製の6台には、1963年当時に割り当てられる予定だった車台番号が付与される。6台はすべて、1963年に生産されたオリジナルの12台の仕様を忠実に再現するという。
「E-TYPEライトウェイト」再生産モデル第1号は、今夏に一般公開予定。詳細情報も同時発表予定だ。
ジャガー社のステートメントを以下に、
「1963年に製造されたレース仕様の『Eタイプ・ライトウェイト』の完全再現モデルを6台製造します。これは当時、ジャガーのEタイプ・ライトウェイト・プロジェクトにおいて、計画されながらも生産されなかった6台です。1963年2月に始動した同プロジェクトは、18台の『スペシャルGT・Eタイプ』を生産することが目的でした。最終的に、アルミニウムボディの『Eタイプ・ライトウェイト』は、1964年に造られた最後の1台を含む12台のみが完成し、残り6台用の車台番号は現在まで使用されませんでした。この『Eタイプ・ライトウェイト』の製造は、ジャガー社内において最高水準を誇るクラフトマンが手作業で行ないます。6台はすべて、3.8リッター直列6気筒エンジンを含む、1960年代のオリジナルモデルの仕様に忠実に従って造られます」
Eタイプ・ライトウェイトは、オールアルミニウム製のボディとエンジンブロックの採用、内装品および外装のクロムメッキ塗装の省略、手動式の軽量サイドウインドウなどの軽量化で、標準のEタイプ・モデルに比べ、約114kg軽量化を実現している。
ジャガーでは、6台のEタイプ・ライトウェイトには大きな需要があると見込んでいて、関心を示す潜在顧客層のなかでも、特にビンテージのレーシングカーに興味を持つ長年のジャガー・コレクターが優先的に購入する権利を有するという。価格や購入条件などについては未発表だ。筆者の予想では、価格は数十億円を超えると思われる。(編集担当:吉田恒)