4K試験放送が開始 3Dテレビ失敗の二の舞は防げるか

2014年06月01日 22:06

 次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が、6月2日より開始する4Kの試験放送について概要を発表した。試験放送のチャンネル名は「Channel 4K(ちゃんねるよんけい)」。スカパー!プレミアムで同日13時から放送を開始し、試験放送中は毎日6時間(13時~19時)の放送を予定している。

 試験放送の視聴は無料となっているが、視聴には「4Kテレビ」、「CSデジタル対応アンテナ」、「ハイスピードHDMIケーブル」、そして「4Kテレビチューナー」と「スカパー!ICカード」が必要だ。

 これに合わせ各メーカーでは4Kテレビだけでなく、対応チューナーやレコーダーの開発・販売も発表されている。ソニー〈6758〉は試験放送対応の4Kテレビチューナーの開発を発表、販売は今秋予定、価格は未定となっている。

 一方、シャープ〈6753〉はいち早く4K試験放送に対応するHDDレコーダー「TU-UD1000」を発表。試験放送には間に合わなかったものの、6月25日発売予定で、価格は13万円前後を予定している。しかし容量が1TBのため、すべて4K番組を録画すると約53時間分しか録画できないこと、録画データの移動が出来ないことなど、あくまで試験放送の録画を前提とした試作機の印象も強くなっている。

 試験放送されるラインナップも見てみよう。まず初めは次世代放送推進フォーラム加盟の放送局が制作した番組が中心となるようだ。NHK制作の自然ドキュメンタリー番組、TBS制作の「世界遺産」など15のコンテンツが発表されている。しばらくの間は、それらを中心としたリピート放送となる予定だ。

 コンテンツで気になるのが「2014FIFAブラジルワールドカップ」。当初次世代放送推進フォーラムは4Kの細密な高画質の迫力を伝えるために、ワールドカップに合わせた試験放送を予定していたようだが、現状ではまだ最終調整中となっている。

 4K放送に関しては、コンテンツの不足や、「果たしてこれ以上の高画質が一般家庭で望まれているのか」などの問題点を指摘する声も挙がっている。特にコンテンツの不足に関しては、番組制作の時点での収録データが増えるため予算面や技術面での課題から、簡単には解決しないのではないかという懸念の声も多い。試験放送に関して大々的に報じないことからも、次世代放送推進フォーラムや番組制作側、メーカー各社の足並みが今一つ揃っていないことが伺える。

 3Dテレビがテレビ需要回復の一手として期待されながら普及が進まなかった理由には、消費者目線の欠如と、周辺機器の販売や3D対応番組制作を含めた業界全体の足並みが揃わなかったことが大きい。4Kテレビ普及に関してもその二の轍を踏むことはないのか、業界の真価が問われる。(編集担当:久保田雄城)