少しでも美しい画像を快適な環境で視聴したい。そうした視聴者の欲求は決してとどまるものではない。それに呼応する形で電機メーカーや開発者たちは、これまで数々の新しい商品や技術を生み出し続けてきており、またそれはテレビに限らず映画やインターネット動画の視聴環境にも新たな展開を生み出してきた。つまり、視聴者の欲求こそが日本の映像文化の発展の原動力でもあったわけなのだ。
そんな中、最近では「4K」といわれるさらなる高画質を追求した解像度が注目を浴びている。各電機メーカーともにこの「4K」を採用したテレビを続々と発表しており、現在主流であるフルハイビジョンにとって代わる次世代のテレビとして、その競争も過激化の一途を辿っている。そうした「4K」競争に新たな展開がもたらされた。21日、NTT<9432>、NTT東日本、NTT西日本、そしてスカパーJSAT<9412>の4社は、「フレッツ・テレビ」「スカパー!プレミアムサービス光」の商用ネットワークを用いた「4K」放送の映像伝送に成功したとの発表を行った。これにより、将来的には家庭で「フレッツ光」の1回線を用いて、複数台のテレビで「4K」放送を楽しめるようになるという。
スカパーJSATより、「フレッツ・テレビ」「スカパー!プレミアムサービス光」などの光回線を通じて、地デジやBS放送などの既存の放送コンテンツと「4K」映像が同時に伝送され、複数台のテレビで問題なく視聴できるかどうかの確認が行われた。その結果、それぞれの放送に影響が及ばないことが確認されたため、今回の発表に至った。これによりNTT東日本、NTT西日本、スカパーJSATが協業するそれらの「フレッツ・テレビ」「スカパー!プレミアムサービス光」でもって、「4K」映像を楽しめる可能性が生まれた。
スカパーJSATは2015年春ごろに「4K」放送を開始するとの目標を掲げている。また衛星放送のCS番組を使用した試験放送は6月2日に行われる予定。
フルハイビジョンの映像を初めて目にした時、もうこれ以上美しい映像は実現されないのではないかと、そう感じた。しかしそれから時をおかず「4K」が登場し、そうした考えを改めさせられることとなった。今後も「4K」を採用した商品・サービスは次々と生み出されることだろうし、もしかしたら我々が今目にしている映像美もその先に続く進化の一過程に過ぎないのかもしれないと、そんな感慨すら浮かんで来る。(編集担当:滝川幸平)