原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理ら2人が9月に任期満了になるのを機に、政府は原発推進派の田中知東大大学院教授らを委員に挿げ替える国会同意人事案を示した。自民党の石破茂幹事長は人事案について2日、「わが党の中にもいろいろな意見がある」とした。
石破幹事長は「わが党として、本当に国民から見て、決して原発事故に対する姿勢、あるいは今後の安全性、世界で最高度の安全性が確認されるということについて、いささかも後退したような姿勢を国民に受け取られるようなことがあってはならない」とした。
そのうえで石破幹事長は田中氏が日立ニュークリア・エナジーから50万円、東電関連のところから個人的な寄付を受けていることが明るみになっていることについて「金銭を受け取ったということがどういう意味のものなのか、いろいろなものの対価なのかもしれない。いずれにしても、その任にある方の公正中立、この問題について厳正公平、そういうことがきちんと担保されるかどうかに集中して議論はなされるべきものと考える」とし、金銭授受の趣旨についても「きちんと精査することが必要」とした。
田中氏を委員にする案は安倍政権の原発再稼働推進姿勢を強くにじませるものとみられ、原子力規制委員会の政府からの独立性や公平性、中立性について国民に懸念を抱かせていることは否定できない。国会で徹底した議論が求められている。また、自民党が数の力で強引に同意案を通せば「原発事故を無視し、安全性より、経済優先、財界優先」との批判を党として受けることになりそう。(編集担当:森高龍二)