原子力規制の厳格審査で知られる原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理と大島賢三委員の後任に、原発推進派の田中知東大大学院教授と石渡明東北大学教授をあてる人事の国会同意案が国会に提出されていることに、社民、共産など原発再稼働に反対している野党や原発再稼働反対住民らが強く反発している。島崎委員長代理らの任期は9月で満了を迎えるが、こうした人事で国民から信頼される原子力規制委員会が担保されるのか、疑問の声は多い。
社民党の又市征治幹事長は「元日本原子力学会会長で原発推進を唱える田中氏を後任に起用するこの人選は、再稼動に前のめりな安倍政権の思惑が色濃く反映されたもの」と強く批判。
「厳格な規制から推進へと規制委員会設置法の趣旨を変容させる疑念のある人事案に抗議し、政府に撤回を求める」と反発する。
又市幹事長は委員の適格性について「2012年の規制委員会発足時の人事にあたり、政府が公表した『原子力規制委員会委員長及び委員の要件について』では就任前直近3年間に原子力事業者等及びその団体の役員・従業者等であった者及び就任前直近3年間に、同一の原子力事業者等から、個人として、一定額以上の報酬等を受領していた者を欠格要件にあげている」と提示したうえで「田中氏は原子力利用を研究するエネルギー総合工学研究所の現職役員で、2011年から2012年には日本原子力産業協会の役員等の経歴がある。さらに、2011年に東電記念財団から50万円以上の報酬を受け、原発メーカーの日立GEニュークリア・エナジーなどから少なくとも2011年度までの4年間で毎年計110万円の寄付を受け続けていた人物」と指摘。
又市幹事長は「田中氏の起用は委員の欠格要件に抵触することが明白である」と断言し、委員になれないことを提示した。(編集担当:森高龍二)