都市部を中心に24時間営業の小型トレーングジムが急速に増えている。日中だけ営業するこれまでのタイプのジムでは、生活スタイルが変化し続ける現役世代のニーズを取り込みきれなくなっているからだ。
24時間ジムの特徴はまず、小規模であるということ。設備はトレーニングマシンやダンベル、バーベルのみ。客層も従来型ジムが高齢者中心であるのに対し、24時間ジムは20代から30代の若者が多い。仕事帰りや空いた時間に気軽に行きたいというニーズに応えるため、立地も住宅地やその周辺の駅が中心だ。
また、1ヵ月毎の会員料金が従来型ジムの6割から7割程度と格安なのも大きな特徴で、月額数千円で24時間利用し放題である。
従来型のジムではプールやスタジオといった大規模な設備を建設するために、初期投資額が数億円以上かかる。それが小型店舗であれば、賃貸ビルにも出店することが可能であり、金額も10分の1程度に抑えられるのだ。
仕事にプライベートにと何かと忙しい現役世代は、長い時間ジムに滞在することは難しい。で、あれば必要最小限の設備を低料金で利用できる方が好ましいというわけだ。
利用者の不安な点を挙げるとすればセキュリティ面だろう。24時間ジムの場合、スタッフが深夜にも常駐している店舗は少数だ。ほとんどの店舗で施設内には会員のみという時間帯が存在する。そのため入退管理は電子ロックにより厳密に行われ、ジム内もトイレやシャワールーム、更衣室以外は常に監視カメラが作動しており、何か異常があればすぐに警備員が駆けつける仕組みになっている。
現在24時間トレーニングジムの店舗数トップであるエニタイムフィットネスは、今後年間40店舗のペースで新規出店を行う予定だという。また、後を追うジョイフィットジム24も年間20店舗のオープンを目標に掲げ、更に同ブランドの総合フィットネス店との相互利用も開始する計画だ。
自宅の近くにあって、いつでも気軽に行ける、そして完全に自分のペースでトレーニングを行える。これは今の若者には特にマッチしたスタイルだ。立地も大きな駅前や商業地といった人の集まる場所ではなく、住宅地の中に自然な形でオープンできるので、これも利用者のニーズにマッチしている。同じく24時間営業のコンビニのように、これからは24時間トレーニングジムもますます一般的な存在になっていくだろう。(編集担当:久保田雄城)