「森のバター」とも呼ばれ、栄養豊富なアボカド。健康ブームの追い風もあり、輸入量・金額ともに増加している。東京税関によると、13年の輸入量は前年比103.3%の6万トン。金額は同122.3%増の158億円で、ともに過去最高を記録した。この20年で、輸入量は13倍、金額は20倍近くまで増加している。
日本へ輸入されるアボカドの主な原産国はメキシコだ。13年のデータでは、メキシコが9割を占めている。次いでアメリカが1割弱。近年ではニュージーランド、チリからの輸入も増えつつある。
アボカドは他のフルーツと比べて脂肪分が多いが、栄養も豊富だ。コレステロールを減らすといわれる不飽和脂肪酸に加え、ビタミン類やカリウム、食物繊維も豊富に含まれている。ギネスブックでは「世界一栄養価の高い果物」に認定されているほどだ。
十数年前までは、多くの人にとってそれほど馴染みのなかったアボカド。ブームになった背景には健康志向の高まりに加え、調理法の広がりも関係している。昔はわさび醤油をつけるなど食べ方が限られていたが、最近ではマグロと合わせて丼物にしたり、ディップにしておつまみにするなど、多様なレシピが知られるようになった。回転寿司のメニューにも「アボカドの軍艦巻き」が登場し、渋谷には「アボカド料理専門」をうたったカフェもできた。ダイエット効果に老化防止、高血圧予防、発ガン抑制作用などへの期待が高く、需要は拡大している。輸入量はバナナ、パイナップル、グレープフルーツ、オレンジ、キウイフルーツに次ぐ6位だ。
日本で最も多く消費されている輸入果物はバナナだが、その量はずば抜けている。フルーツに関する情報サイト「果物ナビ」によると、12年の時点で約110トン。2位のパイナップルが17万トン、3位のグレープフルーツが15万トンなので、バナナの輸入量はケタ違いだ。ブームといっても、アボカドの輸入量は6万トン。まだまだ少ない方ではある。(編集担当:北条かや)