今、携帯電話業界の顧客獲得、特にスマートフォン(多機能携帯電話)の顧客獲得ためのキーワードとして「定額通話」が挙げられると思う。これまで「高い」とされてきていたスマートフォンの通話料金だが、そうしたイメージを払しょくするため、各携帯会社は通話料金の完全定額制の導入を検討している。そんな中、いち早く行動を起こしたのがNTTドコモ<9437>だ。NTTドコモは4月、新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」を6月1日から開始。こちらでは国内通話が完全定額となるだけでなく、余ったデータ通信量を家族と分けあえるようになっている。「通話料金が高い」「契約したデータ量を使い切ることがないので、もったいない」そうしたユーザーの声を反映した形になっている。
そしてこのNTTドコモに続き、ソフトバンク<9984>も7日、国内通話が定額となり、またデータ通信量を翌月に繰り越すことのできる新料金プラン「スマ放題」の導入を発表した。7月1日よりサービスの提供が開始される予定。今月11日より予約を受け付ける。
ソフトバンクによれば、「スマ放題」では国内通話をどれだけ使用してもスマートフォンで月額2700円、従来型の携帯電話で月額2200円となっており、またインターネットなどのデータ通信量は、その月に使い切れなかった分を翌月に繰り越せるようになっている。それ以外にも、長期契約を続けているユーザーに対しては、月々のポイントを上積みする制度も設けるという。
スマートフォンの定額通話料金については、NTTドコモ、ソフトバンクともに横並びの月額2700円であるが、これら2社の新プランの違いは使い切れなかったデータ通信量の扱いにある。NTTドコモがそれを家族とシャアできるようにしたのに対し、ソフトバンクはそれを翌月に繰り越せるようにした。
携帯会社の通話料は「LINE」などの無料通話アプリの躍進により、落ち込み続けている。定額通話の導入は、こうした落ち込みをリカバーする目的がある。ソフトバンクに続き、auのKDDI<9433>も定額通話を導入するのではないかとされており、今後は「定額通話」を舞台に料金値下げ戦争が巻き起こるのではないかとの見方もなされている。(編集担当:滝川幸平)