大規模災害発生時に公衆無線LANを無料開放

2014年05月30日 09:03

 東日本大震災以降、被災者の救助、避難誘導、避難所運営や被災地の復旧支援等さまざまな局面において通信手段の確保がますます重要であることが認識されている。東日本大震災では、無線LAN機能を搭載した移動端末、特にスマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、被災地の復旧支援活動や避難所等において無線LANが有効な通信手段として機能したことが高く評価されているという。

 こうした背景から、NTTドコモ<9437>、KDDI<9433>、ソフトバンクモバイルなど大手キャリアや携帯電話メーカーで構成する無線LANビジネス推進連絡会は、大規模災害時における公衆無線LANの無料開放及び訪日外国人向け公衆無線LANの環境整備について、取組みを発表した。

 同連絡会は、2013年9月に実施した釜石市、仙台市での実証実験を基に、『大規模災害発生時における公衆無線LANの無料解放に関するガイドライン』を策定した。このガイドラインでは、公衆無線LANを提供する各事業者等が、大規模災害の発生に備えてそれに対応した措置を事前に検討・準備する際の留意事項や望ましい事項を明らかにした。

 世界初となる災害用統一SSID『00000JAPAN』の制定をはじめ、無料開放する大規模災害の定義や措置を講ずるまでの目安となる時間、推奨される大規模災害用ポータル等について記載している。連絡会では、2015年3月に仙台市で行われる「国連防災世界会議」でも災害用統一SSIDによる無料開放を実施していく方針だ。

 このガイドラインでは、人命救助及び被災者の救護活動を行う災害の初動対応時期は災害発生後72時間を目安としている。災害発生後 72時間を境に、建物の下敷きになるなどで重傷を負った人の生存率が大幅に低下することからだ。

 また、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの世界最先端ICT環境の実現に向け、訪日外国人にとって利便性の高い公衆無線LANの環境整備に業界横断的に検討していく。

 この連絡会は、総務省が中心となり、2012年3月から開催している「無線LANビジネス研究会」の参加業者が設置したもの。無線LANを巡る諸課題について、事業者間等で意見交換や情報交換を通して連携・協調できる枠組みとして機能している。(編集担当:慶尾六郎)