スマートフォンを持つ子どもが増加する中、深夜までの利用による寝不足や学力低下が懸念されている。スマホやタブレット、パソコンなどの通信機器を使いながら眠ってしまうことを「寝落ち」というが、逆に見ると、「寝落ち」するまでスマホから解放されない苦しい事情もあるようだ。
メールに代わる通信手段として、今、多く使われているLINEは、受け取ったメッセージを読むと「既読」と相手に表示される。そのため、素早く返信をしないといけないという思いにとらわれ、えんえんとやりとりが続いてしまう。また、中高生の多くはLINEをクラスメイトと複数で共有していたりするので、深夜に取り交わされるLINE上のやりとりに接触しなくては、教室での話題についていけなくなったり、仲間外れにされるかもしれないといった強迫観念を抱いてしまうことも少なくないようだ。
オプトは、5月に18歳未満の子どもがいる親800人を対象に、こどものスマホの利用状況を調査した。その回答によると、「自分専用の携帯やスマホを持っている」のは高校生で93.3%、中学生で45.3%という結果だった。また、小学生でも自分のスマホを保有している子どもは珍しくなく、今後ますます子どものスマホ保有率は上がっていくだろう。
本音を語り合うより、無難な話題を選ぶという今時の子どもたち。空気を読むことが重要で、いじめの対象にされないように、グループ内でも常に気を張っているという。そんな彼らの特徴が、スマホの深夜利用に悪循環を生んでいるのかもしれない。LINEに返事をしないといけないと消極的な理由でスマホに貼り付いているよりも、読書や趣味、勉強などに有意義な時間を割いてほしいと願う保護者は多いだろう。
今年開かれた「中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会」においても、文科省はスマホ利用を懸念すべき議題としてあげている。社会的にも子どものスマホ事情に対する問題意識は高まりつつあり、独自に規制を設ける学校も出てきた。麻布中・高や灘中・高といった名門校では、学校内での使用を明確に制限しているようだ。家庭でも対策を立て、例えば夜間はスマホを保護者が預かるなどして、積極的に介入していく必要を感じるのは筆者だけではないだろう。(編集担当:久保田雄城)