進出に遅れをとる日本 アフリカは最後のフロンティアとなるか

2014年06月15日 10:32

 2000年代には年間成長率が平均5%に達するなど、アフリカ市場の成長率が急速に高まっている。世界最後の経済フロンティアと呼ばれるこの地を巡り、世界中の国々や企業が進出を果たすべく我先にと躍起になっている。

 中でも中国は資源開発をメインにアフリカへの進出が目覚しい。天然資源の独占権と引き換えに様々な援助を行っており、中国の助けによって造られた発電所やスタジアムといった建造物も多い。しかし一方で、実際現場で働くのは中国からやってきた労働者ばかりであり、アフリカの人々は十分にその恩恵を享受できていないとの批判も多い。他にも金にモノを言わせるような中国側の高圧的な態度は、必ずしもアフリカ側から好意的に受け取られているわけではないようだ。

 また、かつてアフリカが植民地であった頃の宗主国である欧州勢も黙ってはいない。彼らは独自のネットワークを駆使しアフリカに新たな金融網を構築しようとしている。経済が発展すれば必然的にその地における金融機関の影響力は大きくなる。この分野に関しては欧州勢に一日の長があるといわざるを得ないだろう。

 そんな中、今年最初の外遊先として安倍首相が選んだのはアフリカであった。「地球儀を俯瞰する外交」として、エチオピア、コートジボワール、モザンビークを訪れたのだ。同行した日本企業や団体は約30にものぼった。日本の首相がアフリカを本格的に訪問したのは実に8年ぶりのこと。この数年間、日本国内の政局が安定せず、地理的に遠いアフリカにはなかなか現役首相が外遊する機会が得られなかった。この間、中国やインドは国のトップが定期的にアフリカ各国を訪れている。日本の「決まらない政治」はこんなところにも影を落としていたのだ。中国のアフリカへの輸出額777億1,500万ドル(2012年)は実に日本の5.7倍にも達する。

 前述した通り、中国やインド、欧州に比べて日本企業のアフリカ進出のスピードは遅い。これを挽回するためには官民一体となった戦略的な計画を迅速に実行していくしかないだろう。
 
 日本の強みは、相手の文化を尊重しこちらの価値観を押し付けないこと。そして、隠れたニーズを引き出し、質が良く永く使えるものを提供できることだ。特に人材教育や技術協力、インフラ関係について我が国は抜群の力を持っている。
 
 アフリカの広大な土地にはまだ十分な鉄道や道路が整備されていない。このような日本の得意分野を突破口としていけば、必ずや日本とアフリカのwin-winな関係を築くことができるだろう。(編集担当:久保田雄城)