団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に突入する2025年、神奈川や東京、埼玉、千葉、愛知など首都圏ではあわせて10万床近い病床数が足りなくなる一方で、北海道や福岡、鹿児島、熊本、長崎など地方部では多くの病床が過剰となる試算結果が出た。2025年問題にむけて病床数の地域偏在を見直す取り組みが急務となる。病院情報局を運営するケアレビューがまとめたもの。
病床が不足する都道府県の2025年の不足病床数とその内訳は、1位が神奈川県で31,400床(一般14,700床、療養16,700床)の不足。2位が東京都で23,800床(一般3,200床、療養20,600床)、3位埼玉県22,000床(一般10,800床、療養11,200床)、4位千葉県19,400床(一般7,800床、療養11,600床)、5位愛知県17,000床(一般6,000床、療養11,000床)、6位静岡県6,900床(一般3,900床、療養3,000床)、7位岐阜県5,300床(一般1,300床、療養4,000床)、8位茨城県4,300床(一般100床、療養4,200床)、9位新潟県4,200床(療養4,300床、※一般は100床余剰)、10位長野県4,100床(療養4,300床、※一般は200床余剰)。
一方で病床が余剰となる都道府県は1位が北海道で19,300床(一般17,500床、療養1,800床)の余剰、2位福岡県16,300床(一般14,600床、療養1,700床)、3位鹿児島県11,200床(一般7,700床、療養3,500床)、4位熊本県10,800床(一般8,000床、療養2,800床)、5位長崎県6,300床(一般4,900床、療養1,400床)、6位山口県6,200床(一般2,300床、療養3,900床)、7位大分県5,000床(一般6,500床、※療養は1,500床不足)、8位高知県 4,700床(一般3,300床、療養1,400床)、9位愛媛県4,600床(一般4,600床)、10位岡山県4,400床(一般6,500床、※療養は2,100床不足)。
全国には101.3万床の一般病床(急性期医療)が既に存在するが、1日あたり入院患者数は、25年で92.5万人、40年で97.6万人と予測される。ケアレビューの考察によれば、全国の医療資源(医師や病床)を各地域の需要に合わせて再配置することができれば、マクロ的には現在の病床数でも受入可能な患者数であり、急性期医療は供給総量の増加よりも地域偏在の解消が重要なテーマと考えられるという。
また全国の既存の療養病床(慢性期医療)は33.2万床だが、1日あたり入院患者数は、25年で45.8万人、2040年で55.8万人と増加し、慢性期医療は大幅な供給不足が見込まれる。これに対して病床数は厚生労働省の病床計画によって決められており、医学部の定員も決まっていることから大幅に病床数や医師数を増やすことは困難。対応するには介護サービスや在宅医療へのシフトをさらに推し進めていく必要がある。(編集担当:横井楓)