激しい顧客獲得争いが繰り広げられている携帯電話業界だが、各キャリアともに様々な新しいサービスをすることで、それに勝ち抜こうとしている。最近では、NTTドコモ<9437>が国内では初となる高品質通話サービス「VoLTE」を開始し、大きな話題となった。それ以外にも、NTTドコモが通話定額制を導入したのを皮切りに、ほかのキャリアもそれに続く動きをみせている。
そうしたなか、総務省が20日、2014年1~3月の電気通信サービスの契約状況を発表した。それによれば、携帯電話などの移動系通信の契約数は、シェアトップのNTTドコモは前年同期から1.8ポイントダウンして40.2%、2位のauのKDDI<9433>が0.1ポイントアップして25.8%、3位のソフトバンク<9984>が0.7ポイントアップして22.9%という結果であった。
高額の現金還元サービスなど、様々な顧客獲得争いが繰り広げられた春商戦だったが、0.7ポイントアップしたソフトバンクが優勢となり、それに対してNTTドコモはシェア40%割れが現実味を帯び始めたてきた。
移動系通信全体の契約数は、前年同期比7.2%アップの1億5702万件で、うち携帯電話は前年同期比5.8%アップの1億4401万件であった。また、最近なにかと話題となっている、自社で携帯通信網を持たずほかの事業者からそれを借り受けて「格安スマートフォン(多機能携帯電話)」などを提供している「MVNO(Mobile Virtual Network Operator)」の契約件数は前年同期比40.5%アップの1533万件で、大幅に契約数を増加させた。スマートフォンの普及率が増えるにしたがい、「少しでも安い料金でスマートフォンを手に入れたい」と思う利用者の数も増えており、そうした傾向が大きく反映された結果となった。
また、固定系ブロードバンドサービスについては前年同期比1.6%アップの3585万件で、光回線による家庭向けデータ通信サービスである「FTTH」は6.3%アップの2535万件であった。シャアトップのNTT東日本、西日本が1.3ポイントダウンの71.2%で、それに12.3%のKDDI、5.8%のケイ・オプティコム、1.2%の九州通信ネットワークが続く形となった。固定電話の契約数は前年同期比0.5%ダウンの5654万件であった。
「顧客離れ」の傾向が続くNTTドコモだが、今回もシャア40%割り目前という厳しい結果となった。勢いを増すソフトバンクなどほかのキャリアに対抗する抜本的な施策を打ち出さないことには、このまま40%割れが現実のものとなる可能性は高い。(編集担当:滝川幸平)