【日経平均】株主総会通過待ちで67円しか動かず41円高

2014年06月26日 20:19

 不織布の小津産業<7487>は5月期本決算見通しの売上高、経常利益、純利益を上方修正して36円高。純利益は前期比約60%増になる見込み。東南アジアで日本ブランドのファッションのネット通販を開始と報じられた住友商事<8053>は1円高。前日に気象庁が7~9月の3ヵ月予報を発表し、エルニーニョによる冷夏の懸念が後退して「平年並み」の予報。夏物が売れない懸念が後退してしまむら<8227>は70円高。ニトリHD<9843>は3~5月期の営業利益が円安による輸入商品の価格上昇をはね返して過去最高になるという観測もあり30円高だった。

 中華食堂チェーンのハイデイ日高<7611>は3~5月期の営業利益が過去最高の観測が出て35円高。「歴女」にウケそうな企画店舗など数々のコンセプト居酒屋を展開するダイヤモンドダイニング<3073>は、消費増税後も既存店が好調で3~8月期の経常利益見通しを従来の7000万円から3.78億円へ5.4倍も上方修正しストップ高比例配分の400円高。最初は「キワモノ」視されても、数字をあげれば同業者も後追いでマネを始める。「戦術」を酷評されようとルールに反しなければ、サッカーは点を多く取った方が勝ち。ビジネスは利益を多くあげた方が勝ち。

 臨床検査と調剤薬局のファルコSDHD<4671>が146円高で値上がり率4位に入った材料は株主優待制度新設。9月末、3月末の時点で100株以上保有する株主にそれぞれ一律1000円分のQUOカードを支給。100株保有なら配当利回り2.82%に株主優待利回り1.61%が上乗せされて4.43%になる。

 ゲーム・コンテンツ関連ではKlab<3656>の後場の躍進が目立った。「ラブライブ!」をゲーム大国、韓国で展開すると発表し161円高で年初来高値を更新し売買代金16位、値上がり率2位。ヤフー<4689>は4円高で5日ぶりに反発。「KCカード」の運営会社を連結子会社化しクレジットカード事業に参入、運用監視ソフト開発会社アイビーシーと提携してクラウド運用監視を開始という2つの材料があった。マレーシアのエア・アジアと共同で2015年に格安航空事業に参入と報じられた楽天<4755>は37円高だった。

 この日は6月期決算銘柄は期末、12月期決算銘柄は中間期の権利配当落ち日でやむを得ざる下落。タイヤのブリヂストン<5108>は46円安、横浜ゴム<5101>は24円安、住友ゴム<5110>は33円安で、天然ゴム国際価格の上昇も響きゴム製品セクターは業種別騰落率最下位だった。同じく12月決算のキリンHD<2503>は20円安、キヤノンは77円安、花王<4452>は59円安、女性誌でも優待取り銘柄と紹介される「ベルメゾン」の千趣会<8165>も12月決算で、優待取りの買いが消えて11円安だった。6月期決算のグリー<3632>はJPモルガンが目標株価を引き下げた影響もあり42円安で5日続落し値下がり率5位になった。

 主力株に買いが向かった影響で新興市場は日経ジャスダック平均が0.19%、東証マザーズ指数が0.31%、それぞれ下落。日本通信<9424>は26円安と反落、ミクシィ<2121>はこの日から株式分割で株価が5分割され売買しやすくなったが292円安。24日に上場した直近IPO銘柄のフリークアウト<6094>は「IPOセカンダリー投資」の人気が続いて前場は高かったが130円安。かなりの神経戦。オンコリスバイオファーマ<4588>は腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン」が日本で特許査定されたという材料がありストップ高の150円高と買われた。放射線や抗がん剤が効かなくなったがんの治療に効果があるという。最後まであきらめない。

 この日の主役は「水素ステーション」関連銘柄。前日、トヨタが燃料電池車(FCV)をお披露目して日経新聞朝刊1面トップを飾り、その最重要インフラとして買いが盛り上がった。代表銘柄の岩谷産業<8088>は一時ストップ高の92円高で年初来高値を更新し売買高5位、売買代金4位、値上がり率3位とランキングをにぎわせた。大陽日酸<4091>は12円高。水素製造装置をつくる三菱化工機<6331>は売買高3位、売買代金12位で、一時ストップ高の70円高で年初来高値を更新し値上がり率トップ。中国工業<5974>は64円高で年初来高値を更新し同6位、伊藤忠エネクス<8133>は18円高。

 トヨタは今年度中に価格700万円程度でFCVの市販を開始する予定。国の補助金が電気自動車(EV)と同じ約80万円と仮定すると実質価格は600万円台前半になるが、水素ステーションがなければ遠出ができない。その建設にも国の「水素供給設備整備事業費補助金」が今年度総額72億円出ているが、さらなる予算の増額が期待される。(編集担当:寺尾淳)