24日のNYダウは119ドル安。NASDAQ総合指数は18ポイント下落した。消費者景気信頼感指数が6年5カ月ぶりの高水準で新築住宅販売件数も市場予測を大きく上回り、17000ドルに接近していたNYダウを撃ち落としたのが「シリア軍機」。イラク西部を空爆し50人死亡の報道が伝わると、イラクの内戦にシリアが介入する地政学的リスク拡大を懸念して債券買い、株式売りが起き、アメリカの長期金利は2.6%を割りNYダウは3ケタ安で終えた。モルガンスタンレー1.5%下落、ゴールドマンサックス1.1%下落など金融株は軟調だったが、ハイテク系はインテル0.8%上昇、フェイスブック0.5%上昇など堅調。ドル円は一時102円台に乗っていたがリスク回避の円買いで円高に振れ、25日朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が138円台後半で、前日夕方とあまり変わらない水準だった。
安倍内閣は前日夕方の臨時閣議で「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」「新・成長戦略」「規制改革実施計画」を閣議決定し、安倍首相が記者会見して説明した。現状35.64%(東京都)の法人実効税率を2015年度から数年間で20%台に引き下げるほか雇用、農業、医療の分野での「岩盤規制」の撤廃・緩和も列記。ほとんどが報道済みの素案通りで、ポジティブサプライズもなければ大きな失望を買うような変更もなかった。
シカゴCME先物清算値は15340円。ブラジルW杯で日本はコロンビアに1-4で負けてグループステージ敗退。日本国民意気消沈の中、日経平均は79.00円安の15297.24円で始まる。TOPIXもマイナス。日経平均は10時15分に15267円まで下落する。「新・成長戦略」発表の影響はニュートラルとみられ、NY市場のリスクオフ大幅安の影響で下落した。同じ要因で上海市場も香港市場もマイナスで始まる。下がれば買いサポートの手が入って15350円付近まで戻す場面もあったが一時的で、前引は15311円だった。
後場は前引とほぼ同じ水準で始まり、おおむね15280~15300円の20円幅で膠着した値動きが続き、ほとんど動かなくなる。日経平均は大引け直前にグッと下げ終値は109.63円安の15266.61円と3ケタの反落。日中値幅は82円しかなかった。TOPIXも-7.67の1260.83と反落。売買高は18億株、売買代金は1兆6325億円と伸び悩んだ。
値上がり銘柄は412、値下がり銘柄は全体の70%を占める1286。業種別騰落率は全セクターが下落で、マイナス幅が小さいのは石油・石炭、空運、建設、小売、不動産、倉庫など。大きいのは保険、繊維、その他金融、水産・農林、機械、その他製品などだった。
日経平均採用225種は値上がり43銘柄、値下がり173銘柄。プラス寄与度1位は日東電工<6988>で+4円、2位はスズキ<7269>で+1円。マイナス寄与度1~3位は「日経平均寄与度御三家」が揃い踏みし、合計-32円で日経平均下落幅の3割を占めた。
メガバンクも証券も全面安。自動車大手は車載情報システムをアンドロイドOSで開発するグーグル陣営の「OAA」への参加という材料があったトヨタ<7203>は3円安、ホンダ<7267>は17円安、マツダ<7261>は4円安。スズキ<7269>の26円高、日野自動車<7205>の6円高が目立った。電機大手は4円高の富士通<7202>、3円高の東芝<6502>、1円高のシャープ<6753>のプラス組と、1円安のパナソニック<6752>、3円安のNEC<6701>、5円安のソニー<6758>のマイナス組に分かれた。日立<6501>は値動きなしだった。
カーナビ、カーオーディオのアルパイン<6816>はトヨタのグーグル陣営参加の関連で買われ81円高で値上がり率5位。「明朗会計おくりびと」のティア<2485>は76円高で3日続伸し同6位。キヤノン<7751>は12月決算で、この日が中間期の権利配当落ち日。売買代金7位と買いを集めたのは序盤だけですぐマイナスに落ち13円安。14円安のブリヂストン<5108>も同様の値動きをした。アーク<7873>は25円安で連日の値下がり率1位。終値は180円で鬼のTOB価格の55円はまだ遠い。
値上がり率1位は前日に続き人工膝関節の日本MDM<7600>でストップ高の80円高。新・成長戦略を材料に最も買われたのが保育サービスのJPHD<2749>で、21円高で値上がり率8位。安倍首相は「学童保育の受け入れ枠を2019年度までに30万人分増やして『小1の壁』を崩す」と述べ、関連銘柄として物色された。「小1の壁」とは、保育所に入っていた子どもが小学校に入学すると母親が仕事をやめざるを得ないこと。