まだまだ再稼働の見通しが立たない日本の原子力発電であるが、「このまま停止させておき、新たなエネルギー供給源を模索するべきだ」「安定的なエネルギー供給のためには、原発は必要」と、その意見は人それぞれ異なることと思う。どちらの意見が正しいなどと一概に言うことができないが、ただ間違いなく言えることは、十分な議論を重ねた上でそれは決定されるべきであるということだ。福島第1原発事故のような悲劇を繰り返さないためにも、それは決して性急に決定するべきではない。日本のエネルギー問題の現状、原発の安全性、それら両方面からしっかりと検討がなされるべきだ。
そうした状況の中、鹿児島県薩摩川内市にある川内原発1号機、2号機に新たな動きがあった。24日、九州電力<9508>は川内原発1号機、2号機の再稼働に向け、新規制基準にもとづく審査に必要な申請書を原子力規制委員会に再提出した。九州電力は今年の4月に補正申請書を提出していたが、原子力規制委員会から記載漏れなどを指摘されており、その修正を行っていた。
今回再提出された申請書には、記載漏れが指摘されていた42項目に加え、重大事故が発生した際に対処するための設備の使用とその手順、またテロ対策の具体的な内容などが盛り込まれた。原子力規制委員会はこの再提出を受け、事実上の合格書となる「審査書案」の作成を開始し、申請書に不備がなければ7月上旬にもまとまる予定で、その後30日間の意見公募を経た上で8月ごろに正式決定される見通しだ。
九州電力は2013年7月に、川内原発1号機、2号機の審査を申請。そして14年3月に原子力規制委員会は事故対策など重要な課題を最初にクリアした原発として、この川内原発についてほかの原発よりも優先して審査を進める方針を決定していた。このまま8月に正式決定されれば、最初に再稼働する原発となる。
原発の再稼働、それが正しいことなのか間違ったことなのか、筆者はそれを判断する立場にない。もちろん個人的な意見は持ち合わせているが、しかしそれをここで披露することは妥当ではないだろう。なのでここでは、「3・11」が再び繰り返されないこと、ただそれを願うだけにとどめておきたい。(編集担当:滝川幸平)