かつて携帯電話市場において躍進をみせていた韓国のサムスン電子が、その勢いに陰りを見せ始めている。8日、サムスン電子が第2四半期(4月~6月)の業績予想を発表した。それによれば、営業利益は前年同期比22.3%から26.5%ダウンして7兆ウォン(約7000億円)から7兆4000億ウォンとなる見通し。また売上高についても前年同期比7.8%から11.2%ダウンの51兆ウォンから53兆ウォンとなるとの見通しを示した。スマートフォン(多機能携帯電話)市場の成熟に伴う価格競争による販売の減速と、ウォン高などの為替の影響がこうした見通しの背景となっている。
サムスン電子の第1四半期の営業利益は前年同期比3.3%ダウンという結果であり、今回発表された第2四半期の業績が同社の予想通りに推移すると、これで3四半期連続での減収となる。
今回の業績予想に対しサムスン電子は、中国やヨーロッパなどでの需要が想定を下回った以外にも、ウォンの上昇が利益の重荷になったとの見解を示している。しかし第3四半期(7月~9月)には、新商品やディスプレイ需要の拡大により業績は押し上げられるとしている。サムスン電子によれば、第2四半期は中国のスマートフォン需要が弱い時期にあたり、第3四半期に登場する新たなラインナップにより、見通しは上向くのではないかとの予想を示している。
そしてサムスン電子は、第4世代(4G)無線ネットワーク対応機種への需要拡大にも期待を寄せているが、しかし先進国ではすでにスマートフォンの販売の伸びは鈍化しており、また新興国では低価格スマートフォンの台頭が目立っている。また米アップルが大画面の「iPhone(アイフォーン)」の生産準備を進めているという話もあり、それが発売されれば、サムスン電子の得意とする大画面スマートフォンにおける優位性も揺らぐ可能性がある。必ずしもサムスン電子の予想通りに推移するかは、まだまだ不透明な状態だ。
サムスン電子は7月の後半に決算発表を行い、そこで同期の業績を正式に発表する予定だ。(編集担当:滝川幸平)