大人も楽しい科学サイト 「デパプラ」って何だ?

2014年07月05日 20:08

デパプラ

半導体のロームが運営する、科学雑誌のようなウェブサイト「Device PLUS」(通称・デバプラ)。ウェブコミックや電子工作入門など、文系が見てもワクワクするような構成が面白くて話題になっている。

 子供の頃、誰でも一度くらいは、科学本を手に瞳をキラキラと輝かせた覚えがあるだろう。未知の技術や科学の可能性に胸を躍らせた思い出が少なからずあるはずだ。ところが小学校を卒業したあたりから科学は急に遠い存在になってしまう。中学生や高校生になると電子工作も実験も、「ハカセ」とあだ名され、科学部に在籍しているような、科学好きの一部の生徒だけの楽しみになってしまう。

文部科学省が公表した平成25年度の学校基本調査のデータをもとに大学生の学生数を理系と文系で分類してみても、理系はおよそ35%、文系が65%となっている。「理科ばなれ」と悲観するほどではないものの、理系学生の割合が少ないのは否めない。

 一つの理由としては、「途中からついていけなくなった」からではないだろうか。科学本や科学系のメディアは、中学生以上を対象としたものになると、途端に難しくなる。興味のある人の知的好奇心を満たすには、より専門的にすることは必要だろう。しかし、これから興味を持とうとする人にとってはハードルがすこぶる高くなってしまう。

 そんな中、あるウェブサイトが話題となっている。日本の半導体メーカー・ローム株式会社が運営する「Device Plus」、通称「デバプラ」だ。これまで、技術系・エレクトロニクス系のウェブサイトといえば、新製品の紹介や新しく開発された技術の発表など、主に業界や技術者向けのものが多く、一般でも楽しめる読み物サイトはほとんど存在していなかった。子供向けの科学サイトもあるにはあるが、こちらもやはり書籍と同じで、小学生以下は楽しめるものの、それ以上を求める人にとっては少し物足りないものが多い。

 ところが「デバプラ」は、これまでの小難しい科学系サイトとは違い、ウェブコミックや電子工作などを記事の中にふんだんに盛り込んだ、非常に親しみやすくスタイリッシュなサイトになっているのだ。テレビでもたびたび取り上げられ、映画化もされて認知度も高い「NHK大学ロボコン」などが特集記事で熱く取り上げられていたりして、初心者でもとっつきやすい。

 さらには、用語集も面白い。「インバータ」や「LED」など、日常生活の中で耳にはするものの、「実は何のことだかよく分からない。だけど、今さら聞けない」ような、エレクトロニクス・メカトロニクス系の専門用語を非常に分かりやすく解説してくれている。これに一通り目を通しておけば、子供に質問されてお父さんがうろたえるようなことも少なくなるだろう。

 「デバプラ」のトップページには「エンジニアライフにプラス1の情報を」というキャッチコピーが記されているが、エンジニアでなくとも楽しめるページになっている。とくに学生や、初めて電子工作に挑戦してみようと思ったときにはうってつけのサイトではないだろうか。

 日本経済を支える技術力。電化製品や自動車市場では今、中国や韓国などの台頭が目覚しいものの、日本製品はその根底にある確かな技術力で、世界の国々で圧倒的な信頼を保持している。そして、その信頼されるものづくりの第一歩が、子供の頃に科学雑誌を手にしたときの、あのワクワク感なのではないだろうか。IT技術の世界的な進歩と普及に伴って、優秀なエンジニアは今後より一層必要とされる人材であることは間違いない。「デバプラ」のようなサイトや書籍がもっと増えてくれば、日本の未来は明るいかもしれない。(編集担当:藤原伊織)