文科省などが「インターン」の指針改定、企業に「囲い込み」への警鐘鳴らす

2014年07月14日 12:26

大学生の就労体験(インターンシップ)をめぐる指針が、文部科学省などによって17年ぶりに改定された。新しい「指針」には、ここ数年当然のように行われている「インターンシップと称した実質的な採用活動」を食い止める狙いがある。

 改正された指針には新たに、1997年の策定時にはなかった「企業がインターンシップ等で取得した学生情報の広報活動・採用選考活動における取扱いの考え方について」とのページが加わった。企業が広報活動をスタートさせる「前」に、広報・採用目的でインターンを実施することは禁止されている。

 現在の大学3年生からは、企業の説明会など広報活動が、従来の「大学3年の12月1日以降」から「3月1日以降」へ、選考活動は「大学4年の4月1日以降」から「8月1日以降」へと後ろ倒しになる。採用期間が短くなることへの危機感から、多くの企業は早くに学生と接触できる「インターン」を強化するだろう。指針は、こうした動きが行き過ぎないよう、企業側に注意を促す内容だ。

 指針では「インターンで得た学生の情報」についても、取り扱いの原則を設けた。広報活動の解禁「前」に実施した学生インターンの情報は、広報・採用活動に使用することはできない。ただし、学生が企業に提出したエントリーシートなどに「インターンシップに参加したこと」や「インターンのフィードバック」などが書かれていた場合は、採用活動に使うことができるという。学生側も、インターンの実績を自己アピールに使うことはあるだろう。採用につながる早期の「囲い込みインターン」を食い止めるのは、なかなか難しい。

 文部科学省にとって、インターンは基本的に「大学教育の一環」。企業が採用目的で学生を囲い込むケースが増えれば、インターンシップそのものへの信頼が揺らぎかねないと警鐘を鳴らす。政府と企業、学生。それぞれが何らかの思惑を持ってインターンのルールを決め、実施し、参加する。「学生インターン」が今後どうなっていくかは未知数だ。(編集担当:北条かや)