23日のNYダウは26ドル安と反落したが、S&P500は過去最高値更新でNASDAQは17ポイント上昇した。ウクライナ軍機2機が親ロシア派の対空ミサイルで撃墜され、アメリカが民間機のイスラエル発着便の運航禁止措置を延長するなど、地政学的リスクが再燃して上値を抑えた。しかしおおむね好調な主要企業決算に支えられ底堅い。ペプシコは1.9%上昇。マイクロソフトの決算は純利益7%減だったが、買収したノキアの携帯端末事業の赤字に圧迫された特殊要因があり0.1%上昇。アップルの4~6月期決算は中国でのスマホ販売が好調で純利益は12%増で2.6%上昇しNASDAQに寄与した。しかしキャタピラーは1.5%下落。24日朝方の為替レートはドル円が101円台半ば、ユーロ円が136円台後半で円高基調が続いていた。
CME先物清算値は15355円。取引時間前に6月の貿易統計が発表され、輸出額が2.0%減少し貿易収支は8222億円の赤字で、赤字額は市場予測を上回った。為替はドル円が若干円安に動いて反応。日経平均は21.72円高の15350.28円で始まり、TOPIXもプラスでスタート。序盤は徐々に下落しTOPIXはマイナスまで下げるが日経平均は午前9時7分に15330円でかろうじてプラスで踏みとどまる。売り物をこなして反発しても9時57分の15365円どまり。その後はヘビににらまれたカエルのように15340円台で固まって動かなくなる。「恐怖の対象」は東京市場が過去に何度も煮え湯を飲まされた中国のHSBCの製造業購買担当者景気指数(PMI)だったが、10時45分に発表されたその数字は6月の50.7も市場予測の51.0も大きく上回る52.0。ポジティブサプライズでヘビは逃げ去り、カエルは喜んで10時45分に15383円までジャンプして15360円付近に着地した。豪ドルは急騰。上海も香港も台北もシンガポールもアジア市場は全面高。しかしドル円は瞬間反応しただけで東京市場は11時台に元の15340円台に戻り、前引けは15344円だった。
後場は前引け水準で始まるが、先物主導でどんどん下落してマイナスに沈み安値更新。午後0時39分に15304円まで下げるが前日時点で15303円の25日移動平均がサポートしていったん反発する。しかし1時ジャストに始まる下落は為替の円高を伴っていたため25日線も15300円も割り込み、安値を何度も更新しながらズルズル下落を続けてカエルはノビてしまった。1時49分の15232円を底に2時台は若干回復するが上値は15280円付近までで15300円台も25日線も回復できない。ようやく終盤大引け間際に15280円を超えるまでが精いっぱいで、終値は44.14円安の15284.42円で続落。後場の下落で日中値幅は151円に拡大した。TOPIXも-2.53の1269.86で続落。売買高は19億株、売買代金は1兆7935億円と前日より回復していた。
上昇銘柄は792、下落銘柄は872で全体の48%。上昇業種は9、下落業種は24。プラス上位は空運、輸送用機器、ゴム製品、繊維、証券、電気機器など。マイナス下位はその他製造、鉄鋼、情報・通信、その他金融、非鉄金属、電気・ガスなどだった。
日経平均採用225種は値上がり83銘柄、値下がり133銘柄。プラス寄与度1位はファナック<6954>で+3円、2位は日揮<1963>で+2円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-16円、2位は東京エレクトロン<8035>で-6円だった。
メガバンクはみずほ<8411>0.3円安、三菱UFJ<8306>0.1円高、三井住友FG<8316>36円高。野村HD<8604>は2.2円高だったが松井証券<8628>は19円安。4~6月期決算を発表し、手数料収入は57%減、営業収益は43%減、税引後利益は50%減と悪化。「黒田異次元緩和」でマーケットが盛り上がった前年同期が良すぎた反動もあるが、個人投資家中心のネット証券にとって、1月から投資課税の税率が10%から20%に上がったのは痛かったかもしれない。ノンバンクのアイフル<8515>は23円安で値下がり率10位。売買高2位、売買代金3位で相変わらず商いは盛ん。
自動車大手はトヨタ<7203>は24円高、ホンダ<7267>は15円高、富士重工<7270>は30円高だったが、それらより注目を浴びたのが朝刊に4~6月期の業績観測記事が出た日産<7201>とマツダ<7261>。日産は営業利益が1100億円超で、国内販売は1割以上減少したが世界販売は約130万台で1割増。マツダは営業利益が500億円強で前年同期比で4割以上増え、国内販売は2割以上減ったが環境技術が評価され欧米の新車販売が2ケタ増だった。両銘柄とも国内の苦戦を海外で補ったが、例によって業績観測が市場予測を上回った日産は売買高13位、売買代金11位に入って15円高、下回ったマツダは6円安で終えた。それでも輸送用機器セクターは業種別騰落率2位に入っていた。
ソニー<6758>はスマホ重要部品のイメージセンサーの生産能力を引き上げるニュースがあり43円高で3日続伸。売買代金7位だった。シャープ<6753>は4円高、パナソニック<6752>は3円高、日立<6501>は6.5円高、東芝<6502>は6.5円安、NEC<6701>は4円高、富士通<6702>は1.3円高で年初来高値を更新し5日続伸した。
東京エレクトロンはアメリカの半導体関連企業の決算がふるわず176円安。日本航空電子工業<6807>は前日に4~6月期決算を発表し、スマホ、自動車、産業機器用コネクタが好調で通期営業利益見通しを180億円から203億円に、純利益を135億円に上方修正したが、市場予測の214億円を下回ったために129円安で値下がり率3位に甘んじた。
「アマゾンが格安スマホに参入」「訪日外国人にSIMカードを無料配布」のニュースが伝わり、携帯キャリアのNTTドコモ<9437>は16.5円安、KDDI<9433>は82円安、ソフトバンクは137円安。一方、割安通信の日本通信<9424>は後場プラス圏に浮上して24円高、IIJ<3774>は9円高だった。
ミネベア<6479>は自動車用ベアリングの需要が拡大して4~6月期の営業利益が約3倍の100億円強で過去最高という業績観測が出て、市場予測を上回り14円高で年初来高値を更新。キトー<6409>は前日にアメリカのチェーン製造大手の買収と1対2の株式分割を発表し277円高と買われ年初来高値を更新し値上がり率5位。キャタピラー株が下落してもコマツ<6301>は6.5円高、日立建機<6305>は30円高と堅調だった。