【日経平均】前週末の下落分を一時全値戻しして127円高

2014年07月22日 20:16

 前週末18日のNYダウは123ドル高で17100台ドルまで反発し、NASDAQは68ポイント上昇。地政学的リスクをもう忘れたかのような回復ぶり。遺族の悲しみをよそに、「出来事」を置き去りにして地球は回り、時は刻まれてゆく。グーグルが好決算を発表して4.2%上昇した。週明け21日のNYダウは48ドル安、NASDAQ総合指数は7ポイント下落。週末、マレーシア航空機撃墜事件はロシアと欧米の対立が深まるばかりで、イスラエル軍はガザで軍事作戦継続中で民間人の死者が500人を超えた。地政学的リスク懸念が再発して一時17000ドルを割るが、終値では回復した。22日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が137円台前半で、円高基調がなお続く。

 CME先物清算値は15275円。日経平均は80.71円高の15296.42円と18日時点で15273円の25日移動平均線をあっさり突破して始まる。すぐに15300円台に乗せ、TOPIXは1270台に乗せる。午前9時台前半に15300円を一時割り込む局面もあったが、10時台は徐々に値を切り上げる。10時45分頃から一気に15370円付近まで上昇し、前引けは15362円だった。気象庁は東京地方の梅雨明けを発表し、いよいよ真夏本番に。

 昼休みに政府の経済財政諮問会議で2014年度の実質GDP見通しを+1.4%から+1.2%に下方修正したと伝えられたが、為替レートの円高が一服し若干円安に戻したこともあり東京市場は後場入り早々に15392円の高値をつける。しかし15400円突破はならず、おおむね15350~15370円の小幅の値動きに。内閣府が5月の景気動向指数の改定値を発表し、一致指数は速報値の横ばいから+0.2ポイントに上方修正。景気の基調判断は「足踏みを示している」のまま。先行指数は-1.7ポイント。午後2時30分を回ると利益確定売りが入ったらしく下落し15350円を割り込むが、終値は18日時点の5日移動平均線15331円をオーバーし、127.57円高の15343.28円と4日ぶりに反発した。日中値幅は105円。TOPIXは+9.98の1273.27だった。中・小型株の商いが活発で売買高は23億株ながら売買代金は1兆7970億円だった。

 東証1部の値上がり銘柄は1460で全体の80%を占め、値下がり銘柄は270。値動きなしが86銘柄で全体の4%だったのは、この日から一部導入の「株価10銭単位」のおかげか? 33業種別騰落率は上昇29業種、下落4業種。プラスセクター上位は鉄鋼、非鉄金属、その他製造、建設、ガラス・土石、保険など。プラスセクター下位は証券、電気・ガスなど。マイナスのセクターは海運、ゴム製品、その他金融、不動産だった。

 日経平均採用225種は値上がり188銘柄、値下がり31銘柄。プラス寄与度1位はファナック<6954>で+7円、2位はダイキン工業<6367>で+5円。マイナス寄与度1位はブリヂストン<5108>、2位は三井不動産<8801>だが、寄与度は-1円以下。それぞれ59銭と39銭だった。

 破たんリスクが減少したと政府が預金保険料を約2000億円減額と報じられたが、メガバンクはみずほ<8411>は株価が10銭単位になってもジャスト値動きなし、三菱UFJ<8306>は3.6円安、三井住友FG<8316>は19円安と元気がなかった。野村HD<8604>はかろうじて0.1円高。野村系のベンチャーキャピタル最大手のジャフコ<8595>は18日に4~6月期決算を発表。営業利益が前年同期比3倍の72億円で80円高。投資先のIPOが1件から5件に増えたため。

 自動車大手はトヨタ<7203>は21円高、ホンダ<7267>は16.5円高と反発したが、日産<7201>はゴーン社長が新車投入時に軽自動車の自社生産を開始すると述べたものの5円安。シートベルトのタカタ<7312>は18日、4~6月期決算で製品保証引当金の積み増し費用約450億円を特別損失に計上すると発表し区切りがついて81円高。電機は東芝<6502>は2円安だったが、富士通<6702>は8.6円高、NEC<6701>は11円高でともに年初来高値更新。パナソニック<6752>は携帯電話基地局関連事業のノキアへの売却で大筋合意と報じられ22円高。「住宅と自動車」に経営資源を集中させる。日立<6501>は15.1円高だった。

 秋に発売される「iPhone6」について、アップルが7000~8000万台の生産計画を部品サプライヤーに通知したとウォールストリートジャーナルが報じた。初期ロットでは過去最大。縁が深い部品メーカーが買われ、日本電産<6594>は137円高で年初来高値を更新し売買代金13位、TDK<6762>は20円高、村田製作所<6981>は121円高。アップルの名を聞くと「パブロフの犬」のように株価が条件反射するフォスター電機<6794>は13円高だった。

 テキサス・インスツルメント(TI)が4~6月期3%増益の好決算を発表し時間外取引で上昇したのを受けて半導体関連が買われ、東京エレクトロン<8035>は116円高、アドバンテスト<6857>は32円高、信越化学<4063>は102円高。京セラ<6971>も39.5円高だった。デジタル計測器の小野測器<6858>は1時30分、6月中間期見通しの売上高、営業利益を大幅に下方修正したため急落し82円安で値下がり率2位だった。