経営再建中のソニー<6758>が、総額約350億円もの投資を行い、スマートフォン(多機能携帯電話)のカメラなどに使用される積層型CMOSイメージセンサーの生産能力を強化するとの発表を行った。
23日、ソニーはソニーセミコンダクタ長崎テクノロジーセンターと、熊本テクノロジーセンターにおいて、積層型CMOSイメージセンサーの生産能力を強化するため、2014年度下期から2015年度上期にかけて設備投資を行うと発表。投資総額は約350億円にものぼる。なお約350億円の投資の内訳は、2014年度実施予定分として長崎テクノロジーセンターに約30億円、熊本テクノロジーセンターに約60億円、そして2015年度実施予定分として長崎テクノロジーセンターに約260億円を投資するとしている。
設備投資により、長崎テクノロジーセンターでの裏面照射型画素と信号処理回路を重ね合わせる工程及び、それ以後の工程を増強。また熊本テクノロジーセンターでの積層型CMOSイメージセンサーのフォトダイオード製造や配線工程といった、マスター工程向け製造設備を増強する。
またこの設備投資により、積層型CMOSイメージセンサーの総生産能力を現行の月産約6万枚から、15年8月までに月産約6万8000枚にまで引き上げるとしている。中長期的には、月産約7万5000枚にまで引き上げるとしている。
ソニーは今年1月にも山形テクノロジーセンターの新設と設備投資を発表していたが、今回新たに発表された設備投資により、山形テクノロジーセンターでマスター工程を行う半導体チップの一部の後工程を長崎テクノロジーセンターで行えるようになることから、一貫した生産体制を整えることができるようになる。
積層型CMOSイメージセンサーについては、スマートフォンやタブレット端末において今後も大きな需要が見込めるため、ソニーはその生産能力の強化を推進している。中長期的に月産約7万5000枚にまで引き上げることで、積層型CMOSイメージセンサー生産における優位性を獲得したいとしている。(編集担当:滝川幸平)