太陽光発電業者は約7割が増収 直近3年間で最高に

2014年07月29日 10:27

 震災後のエネルギー問題を背景に市場拡大が急速に進む太陽光発電システム業界。2012年7月に政府が導入した再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」によって、その流れがさらに強まる一方で、ここにきて、設備認定施設の未稼働問題など制度面の“ひずみ”も目立ってきた。

 株式会社帝国データバンクは、自社データベースである信用調査報告書ファイル「CCR」(160 万社収録、2014年6月末時点)などをもとに抽出した「太陽光発電システム販売・施工」を手がける 5665社(主業、従業を問わず)について、売上状況および損益状況、年商規模・従業員数別、都道府県別に集計・分析した。なお、同様の調査は今回が初めてとなるという。

 「太陽光発電システム販売・施工」を手がける 5665 社のうち、2011~2013 年度において、それぞれ2期連続で年売上高が判明した企業を集計したところ2013年度は「増収」が 67.3%(2276社)にのぼり、震災後の直近3年間で最高を記録した。 増収企業比率の推移を見ても、11年度(60.8%)、12年度(61.7%)、13 年度(67.3%)となっており、12年7月に政府が導入した再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」等による市場拡大を受けて、年々増加基調を強めていることが分かるとした。

 5665社のうち当期純損益が判明した企業を集計したところ、13年度は「黒字」が85.6%(2335社)にのぼり、売上状況とともに震災後の直近3年間で最高を記録した。黒字企業比率の推移を見ると、11年度(78.3%)、12年度(81.9%)、13年度(85.6%)と年々高まっており、損益面においても、市場拡大や制度面での優遇措置等の恩恵を大きく受けている現状がはっきりと表れているという。

5665社を年商規模別に見ると、「1億円以上10億円未満」(2883 社、構成比 50.9%)が全体の過半数を占め、トップ。「1 億円未満」(912 社、同 16.1%)や「未詳」(203社、同 3.6%)などと合わせると、年商10億円に満たない企業が全体の約7 割(3998社、同 70.6%)を占めている。

 また、従業員数別に見ると、トップは「10人未満」で全体の 42.6%(2414 社)を占めた。次いで、「10~20人未満」(1102社、構成比 19.5%)、「20~50 人未満」(1121 社、同19.8%)が続いている。この結果、年商規模別と合わせて見ると、市場におけるメインプレイヤーの多くはこれら中小企業であることが分かったとしている。

 2013 年度決算における「増収約 7 割、黒字 8 割強」という今回の調査結果を見ても、多くの企業が、急速な市場拡大の恩恵を大きく受けている現状がはっきりと表れている。しかし、ここにきて制度面の“ひずみ”も目立つようになってきているという。具体的には、高値での買い取りに伴う家庭や企業における電気料金の負担増、設備認定を受けた施設の未稼働問題や水面下での権利転売の動き、詐欺的手法の舞台装置として暗躍する企業や個人の動きなどだ。

 こうした現状を受け、政府は今後、本格的な制度改革に乗り出すことが予想される。このため、これまで急速に拡大してきた太陽光発電システム市場も早晩ピークアウトを迎える可能性が高く、急成長から一転して淘汰の動きにシフトするおそれも十分あるとしている。(編集担当:慶尾六郎)