【日経平均】71円高で約半年ぶりに終値15500円台乗せ

2014年07月28日 20:16

 前週末25日のNYダウは123ドル安で3日続落して17000ドルを割り込み、NASDAQ総合指数は22ポイント下落。悪役は前日に4~6月期決算を発表したアマゾンとVISA。アマゾンの最終損失は物流コストの増大で2012年以来最悪の1.26億ドルにのぼり、市場予測を下回り9.7%下落、VISAは通期売上高見通しを下方修正して3.6%下落し他のクレジットカード関連銘柄を巻き込んだ。利益確定売りの多い週末要因に、休みの間の地政学的リスク拡大への警戒感、FOMC、GDPや雇用統計の発表を控えた様子見ムードも加わって全面安。28日朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が136円台後半で、前週末とほとんど変わりなかった。

 25日のCME先物清算値は15425円。日経平均は30.89円安の15426.98円でTOPIXとともに反落スタート。25日の高値引け、夜間取引の先物15550円は所詮ワルノリだったのか? 「寄り安」でも序盤は小幅安水準でプラスにタッチできない。しかしNY株安が背景の売り物をこなしたのか午前9時30分を回ると状況は一変し、TOPIXを道連れにプラスに浮上。さらに10時14分には15500円台に乗せる。その水準を維持しながら上海、香港市場が5日続伸で始まるとさらに上昇して10時46分に15556円をつける。やはり25日の先物ピーク15550円はダテではなかった。その後は15530円前後で安定的に推移し、前引けは15530円だった。

 後場は前引け水準で再開し、直後に15500円を割り込みかけるが反発。その後は午後1時台まで15520円前後での小動きが続く。変化は2時20分頃からで、いったん15530円台まで上がった後に15510円付近まで押し下げられる。それでも大引け間際にまた上昇して、終値は71.53円高の15529.40円で1月23日以来約半年ぶりの終値15500円台に乗せた。日中値幅は130円。TOPIXは+4.72の1286.07で、先物主導の日経平均に比べて控えめの上昇だった。売買高は19億株、売買代金は1兆5922億円と低調だった。

 東証1部の値上がり銘柄数は1009で全体の55%を占めたが、値下がり銘柄数は643と意外に多かった。33業種別騰落率は24業種が上昇、9業種が下落。プラスセクターの上位は銀行、パルプ・紙、海運、鉄鋼、建設、金属製品など。マイナスセクターの下位は、鉱業、精密機器、その他製品、空運、電気・ガス、不動産などだった。

 日経平均採用225種は値上がり148銘柄、値下がり60銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+21円、2位はKDDI<9433>で+7円。マイナス寄与度1位は東京エレクトロン<8035>で-7円、2位は住友不動産<8830>で-1円。

 メガバンクへの買い意欲が旺盛でみずほ<8411>は売買高、売買代金とも1位の「2冠王」になり2.9円高、三菱UFJ<8306>は11.4円高、三井住友FG<8316>は65円高で3日続伸した。りそな<8308>は優先株の自社株買いを発表して売買高10位、売買代金13位に入り31.3円高。銀行セクターは業種別騰落率トップだった。ノンバンクのアイフル<8515>は13円高で売買高3位、売買代金2位。しかし野村HD<8604>は1.1円安で3日ぶりに反落した。

 自動車大手は、トヨタ<7203>は26円高、ホンダ<7267>は4.5円高、日産<7201>は8.1円高だったがマツダ<7261>は2円安。スズキ<7269>が97.5円高と大幅上昇していた。いすゞ<7202>は19円高で年初来高値を更新し日野<7205>は3円高。自動車用ファスナー(留め具)のニフコ<7988>は、自動車の生産拡大に伴い4~6月期の営業利益が55%増で過去最高という業績観測があり60円高で年初来高値を更新した。

 電機大手は、ソニー<6758>は売買代金15位、7円高で、NEC<6701>は4円高で年初来高値を更新したが、パナソニック<6752>は0.5円安、シャープ<6753>は2円安、東芝<6502>は3.2円安。富士通<6702>は4~6月期の営業損益が50億円強の黒字という業績観測が出たが、中間期見通しに対する進捗率が2割なので売られ8.4円安。明るさは出ても復活の道はまだ遠い。しかし富士通ゼネラル<6755>は4~9月中間期営業利益見通しを55億円から80億円に上方修正。市場予測を上回り136円高で年初来高値を更新して値上がり率3位に入った。

 日立<6501>グループの日立ハイテクノロジーズ<8036>は4~6月期の経常利益が29倍で、4~9月中間期の業績見通しを137億円から172億円に大幅上方修正。JPモルガンがレーティング、野村證券が目標株価を引き上げ276円高で年初来高値を更新し値上がり率4位、売買代金11位。日立化成<4217>は40歳以上の希望退職者1000人を募集するリストラ策を発表し、SMBC日興証券とUBSがレーティングを引き上げ161円高で年初来高値を更新し値上がり率7位。「好況の時にリストラするのは優れた経営者」という言説がまかり通るが、やらないに越したことはない。本丸の日立は売買高6位、売買代金7位に入り17.1円の大幅高だった。